胆振東部地震から1年 一人ひとりに寄り添った支援で復興を②

 

 昨年9月6日の胆振東部地震からもうすぐ1年が経とうとしています。大きな被害を受けた厚真、むかわ、安平3町と大規模な液状化被害を受けた札幌市清田区の各議員、全道を回った畠山和也・前衆院議員の手記から現状と今後の取り組みを探ります。

地域を回り声を聞き実現に一歩一歩

伊藤富志夫 厚真町議

 

 地震から1年が経とうとするが、4月の後半地方選で地域を廻って聞こえた、印象深い声から書く。

 「震災で家が半壊、その修理で数百万かかった。高齢で体調も良くなく養っていた和牛も手放した。その牛舎も壊したいが金がない。今は傾いたままだ。しかし一方、隣の農家は、後継者もいて金もあるのだろう今、経営体育成支援事業で9割補助を受け倉庫を二棟も建てている」(80代男性)。

 「仮設に入っているがその後が心配。家を建てる金はない。仮設を出た後は、公営住宅に入りたい。なんとかお願いしたい」(80代女性)。

 7月17日、6月議会の議会報告会を私の住むルーラルマナビィーハウスを借りて開いた。会の最後に意見が出た。「今ルーラルの近くで解体された家や土砂崩れの災害ゴミが集積されているが、あの片付けの音がうるさいと悩んでいる人がいる」と。翌日、自治会長と現場に行き実態を見た。そして工事担当者にその旨を伝えた。さらにその足で役場に行き、町長に会ってその話をした。「善処する」との回答。

土砂崩れが起きた北地域の復興の様子

社会的弱者の支援これから

 

 さて1年が経ち、復旧・復興は「金が落ちている所」には急ピッチで進んでいる。土砂崩れの激しかった北地域の変わりようは最たるものである。もちろん個人での復旧・復興も同様である。しかし一方、「金が落ちない」または「高齢者のみ」「健康を害している」等の所では、復興・復旧は遅々として進んでいず、課題がなかなか解決していかない状態だ。それでも、目の前の一歩一歩を進んでいくしかない。

 8月上旬、暑い日が続いた。仮設住宅の部屋の中は35度を超える。

 6月、同じような暑さのとき、仮設団地の自治会長役の人と話をした。「6月でこれなら、8月はどうなるだろうか。耐えられるだろうか。せめてこの談話室だけでも『冷房』がほしいね」と。彼は動いた。2カ月役場に言い続けた。「震災は天災だが、今後、仮設で亡くなるようなことがあれば、今度は人災だよ。早く手を打たなければだめだ」と。彼は言い続けた。そして7月末、彼は言った。「伊藤さん、やっとクーラーとエアコンが付くようになったよ」と。

仮設住宅に設置されたエアコン

復興・復旧はこれからが正念場

 

 1年経つが、復興・復旧はいよいよこれからが正念場。

金もない、健康も害している、高齢である等々、考えなければいけない人がまだ多数いる。

地域を回り、声を聞き、その実現に一歩一歩進めていくしかない。