来年度から教職員に「1年単位の変形労働時間制」を導入する条例案が全国で最初に提出された北海道。1日当たり7時間45分だった勤務時間が10時間まで延長でき、延長分を夏休みに「まとめ取り」するという1年単位の変形労働時間制。2時間以上も勤務時間を上乗せするばかりか、コロナ対策に追われる教育現場に過酷な働き方を押しつけるものです。

 日本共産党の菊地葉子道議は2日の道議会一般質問で、道教育委員会に強く抗議し、問題点をただしました。

 「教職員の働き方改革の一環」と道教委。しかし党道議団がくり返し制度の問題点を取り上げる中で、導入しても教職員の在校時間が削減されないことが道教委の答弁からも判明しています。

 道教委は、市町村教委、道立学校長への調査で約8割が「活用できるよう検討したい」と回答したことを導入の口実にしています。

 菊地氏は「教職員組合のアンケートで95%の教員が道教委の意向調査の際に意見を聞かれていないと答えている。現場の教職員の実態と意見がまったく踏まえられていない」と批判しました。

 小玉俊宏教育長は、制度導入にさまざまな意見があると認めつつも、「働き方改革を推進する一つの選択肢と考え、各学校の実情や職員の状況に応じて検討の上、活用されるべきもの」とあくまでも条例案を押し通す姿勢をあらわにしました。

 道人事委員会は、変形労働時間制の導入を目的とした議案を「適当」としました。

 菊地氏は、道議会で指摘した問題点が道教委から人事委員会に情報提供されず、人事委員会も委員会で議論の対象としなかったと厳しく指摘しました。

 「公開の場で議論しており、特段の情報提供はしていない」と居直る道教委。菊地氏は「議論の形骸化ではないか」と反論し、子ども一人ひとりの成長を見守る「風通しのよい職場」をつくるには、現場の声を十分に反映させることが不可欠だと強調しました。

(「しんぶん赤旗」12月9日付より)