新型コロナウイルスの感染拡大の中、官邸の意向で鈴木直道知事が「緊急事態宣言」を発した北海道。道内に不安と混乱が広がるもとで、日本共産党の畠山和也前衆院議員・比例候補は、“国民の苦難を軽減し安全を守る”という立党の精神を今こそ発揮しようと連日、道内を駆け巡っています。道民の声を畠山さんがリポートします。

(「しんぶん赤旗・日曜版」3月29日付より)

 新型コロナウイルスは、社会生活や経済・雇用にも深刻な影響を与えています。特に週末の外出自粛などを打ち出した知事の「緊急事態宣言」(2月28日~3月19日)が大打撃となりました。

解雇はできない

 「すべて後手後手だ」-。イベントなどの自粛を打ち出しておいて何ら有効な支援策を示さない安倍政権に、札幌市内のバス事業者は怒ります。団体観光客のキャンセルに加え、学校のスキー教室中止も重なり経営が悪化。「大人数に責任を負うバスは、ただの運び屋ではない。経験のある運転手を簡単に解雇などできない」と、同行した紙智子参院議員と私の目を見て訴えました。

「はたろぐ」(2020年3月16日より)

地震被害の10倍

 函館朝市は驚くほど閑散としていました。半分以上の店が早じまいしている場所も。ラーメン店主は「地域の業者は生き残るのに必死。税の免除など早く決めてほしい」とせきを切ったように話しました。鮮魚店員は、いけすに残ったカニを前に、「売れないまま、ここで死ぬのかね」とこぼしました。市場内の大手ドラッグストアが撤退を決めました。

 函館市民の台所「中島廉売」では商店街振興組合理事長から切迫した実態を聞きました。

 道と札幌市の試算によると、新型コロナの影響が6月まで続いた場合、観光での消費減少額は3680億円に上ります。一昨年9月に起きた北海道地震の10倍の被害額です。

 「中小企業は1社もつぶさない」ときっぱりと口にしたのは、道中小企業同友会の守和彦代表理事です。会員への緊急アンケートで、9割もの企業に影響が出ていることが分かりました。守代表理事は「広い北海道では中小企業は大事なインフラ。なくなれば地域崩壊につながる」と強調しました。

 このような状況の中、志位和夫委員長が12日に発表した「緊急経済提言」に共感の声が相次いで寄せられています。「書かれている通り、社会保険料の減免は急いでほしい」(中小企業団体)、「思い切って消費税はゼロにしてもいい」(旅館ホテル団体)―。収束の見通しが立たず、“思い切った対策を”との声が強く大きくなっています。

「はたろぐ」(2020年3月4日より)

 ギリギリの思いで働く医療・介護・福祉の現場から、悲痛な訴えが次々と寄せられています。

 「検査体制の不備は明らか。今こそ公的病院の役割を見直すべきだ」(道保険医会)

 「もともと介護事業所は人手が足りないうえに休校対応でますます苦しい。マスクも足りないなか、職員は感染防止に必死です」(勤医協福祉会)

 放課後デイサービス代表は、「障害者福祉は人権保障の根本。緊急事態というなら急いで支援してほしい」と力を込めました。

 党北海道委員会は対策本部を立ち上げ、切実な要望をつかむとともに労働組合や民主団体との連携に心を砕きました。

 道労連(北海道労働組合総連合)はワンストップ電話相談を開設。テレビで報じられた途端、4台の電話がいっせいに鳴りだしました。「若い人には働く者の権利があまり知られていません。『相談の入り口』を増やさないといけない」と出口憲次事務局長。

 こうした切実な声と要求を胸に3月12日、紙、岩渕友の両参院議員とともに政府と交渉しました。「切迫感をもった対策を」との要請に、経済産業省の宮本周司・政務官は「やれることはすべてやるという立場で臨みます」と答えました。

「はたろぐ」(2020年3月12日より)

地方議員が奔走

 党道議団は「知事の『宣言』で、減収を余儀なくされた道民への支援は不可欠だ」と求め、ようやく国の具体化を受けて、道はコロナ対策を盛り込んだ補正予算を組みました。

 各地の党地方議員も実態を聞き取り議会で質問。国民健康保険の短期保険証の発行や自治体独自の融資制度などを実現しています。

 党支部は住民にアンケートを届けて「お困りごとはありませんか」と声を掛け、草の根の活動を強めています。

 北海道は一昨年の北海道地震など自然災害を含めて、暮らしと経済への打撃が続いています。地域の窮状に「共産党は聞き耳を立ててほしい」と訴えた中小企業家の言葉を心に刻み、衆院議席の回復を誓います。