北海道新幹線を札幌に延伸する渡島トンネル工事で猛毒のヒ素が環境基準の270倍もの残土が出た問題で、日本共産党の長屋いずみ札幌市議は4日、市議会代表質問に立ち、秋元克広市長を追及しました。

 新幹線工事の事業主体、鉄道・運輸施設整備支援機構は自身が名づけた「条件不適土」が大量に出土し、受け入れ地に搬入できない有害残土を確認しながらも2年以上の長期にわたって、札幌市など沿線自治体や住民に公表しませんでした。

 長屋氏は、機構がボーリングの事前調査では「条件不適土」の発生を予測できなかったと言い訳しているが、「つまりどこのトンネル工事でも発生する可能性がある」と強調。2年にわたって機構と市が残土受け入れ候補地を手稲区の金山、山口両地区、厚別区の山本地区を指定し、住民説明会を開いた時にはすでに機構は渡島トンネルの有害残土の存在を知っていたことになると批判しました。

 「機構と市がくり返してきた『安全』の前提条件は崩れた」と長屋氏。「しかもその存在を隠し続けてきた事実は住民の信頼を失墜させる」と断じ、「条件不適土」の安全対策が明確にされるまで残土の受け入れ地の選定作業は中止すべきだと強く求めました。

 「機構に十分な調査と検討を行った上で確実、万全な対策を求めている」と秋元市長。「市民に必要な情報を丁寧に発信していく」と答弁しましたが、選定作業の中止要請には口をつぐみました。

(「しんぶん赤旗」12月8日付より)