新型コロナ感染拡大から一カ月ほど延期されるなか、2日の札幌市議会代表質問で、日本共産党の千葉尚子札幌市議は、ワクチン接種とPCR検査の充実を求めるとともに、感染急拡大を引き起こすオリンピック競技開催を実施すべきでないと迫りました。

 札幌市のワクチン集団接種会場の増設が多くの市民から求められています。千葉市議は「接種会場を各区に1カ所以上設置し移動支援をおこなうこと」を要望しました。

 市は「ワクチンの確保に努めつつ、より地域に密着した会場についても検討を進めていく」と答弁。9日には、市内10区すべてに新型コロナウイルスワクチンの集団接種会場を設置し、24日から開設する方針をようやく決定。集団接種会場の「つどーむ」で、はじめて夜間接種(17時~19時30分)を実施し、その際に無料の乗り合いハイヤーを地下鉄東豊線・栄町駅から会場まで往復運行する―と発表しました。

 千葉市議は「ワクチン接種と一体にPCR検査は引き続き重要」と強調し、「新規感染者数が減少している段階から、地域単位での網羅的な検査や、何度でも検査が受けられるような検査体制の充実を」と指摘しました。

 市は「感染の疑いがある方が速やかに検査を受けられる体制が重要。検査体制の充実を図っていく」と答えるとともに、9日には、入所型の高齢者施設(特養・老健・認知症GH及び養護・軽費・有料の各老人ホーム)や高齢者住宅(サービス付高齢者住宅、生活支援ハウス)に導入している予防目的の抗原検査を、通所系・訪問系介護サービス及びショートステイの従事者についても対象にすることを決めました。

医療、保健所体制の充実が必要

 千葉市議はまた、第4波で市内でクラスターがひん発し医療ひっ迫状態に陥った問題の根本にある医療提供体制や保健所体制について市の姿勢を問いました。

 札幌市では、5月のゴールデンウィーク以降の感染者急増により、陽性となり症状があっても入院することができずに宿泊療養施設や自宅待機をせざるを得ない状況が生まれ、自宅待機中に亡くなる方も出ました。

 千葉市議は「札幌市の死亡率は、異常事態だと報じられた大阪府や東京都よりも高い3%だった」と指摘。高い死亡率になった理由と分析について明らかにするよう求めました。

 市は、「陽性者をみると札幌市は、東京都などと比較して高齢者の割合が多い。重症化リスクが高く、高齢者の多くは基礎疾患を抱えていることから、死亡率が高い一因となっている」と強弁。

 また、「こんな時期に病床を減らすのか」と批判を浴びている地域医療構想については、「今後の人口構造の変化に対応した医療提供体制の構築を目的としている」「急性期や回復期の病床数が変化した場合も、感染症対策に直接大きな影響が及ぶものではない」と国の姿勢に追従するような答弁に終始しました。

 保健所体制に関して、千葉市議は札幌市に1カ所しかない保健所増設の必要性を迫りましたが、市は「保健所を複数化することは考えていない」「非常時等においては、機動的な体制を構築して対応していく」と突き放しました。

「命の選別」をさせないで――

 東京オリンピック・パラリンピックについて千葉市議は、「私たちのもとに医療関係者から『命の選別』をさせないでほしいとの訴えが届いている」と紹介。人流増加や医療負荷への懸念の声が多くの市民から上がっていると訴え、オリンピックの中止を求めました。

(「ほっかい新報」7月18日付より)