道議会環境生活委員会で、道のアイヌ民族政策に「アイヌの人々を甘やかしているのは国であり、道であり、アイヌの人々自身ではないか」と自民党の道見泰憲道議(札幌市北区)が発言(11月24日)。誤った歴史認識でアイヌの人々を傷つける暴言だと批判が広がっています。

 道は、アイヌの人たちの社会的・経済的地位の向上のための施策を行っています。道見氏は、道がアイヌ民族の教育や就労を支援するために毎年多額の事業費を計上しているとした上で、「(アイヌの人々は)今なお欲しがる、まさしくこの状態が今なのだと判断することができます」とアイヌ文化や支援施策を「利権」と決めつけ、「格差、格差と強調する道にあっては、この政策を続けなければいけない理由を一生懸命探しているにすぎない」と主張しました。

 民主・道民連合の議員が「アイヌ民族を甘やかしているという表現は削除すべき」と措置要求を求めました。道見氏は「言いたいことを他の言葉で明確に伝えることはできる」と説明し、12月10日の委員会で発言は削除せず、「甘やかしている」を「過保護」と修正を申し出ました。しかし、自身の発言を不適切とは認識していないと居直り、謝罪や反省は一切ありません。

 インターネット上でのアイヌ民族を否定するかのような差別的投稿が相次ぎ、民族共生象徴空間(ウポポイ)職員個人を誹謗・中傷する電話やアイヌ民族の尊厳を傷つけるヘイトスピーチが行われています。

 日本共産党の真下紀子道議は「これら一連の誹謗・中傷は、ヘイトスピーチにほかならず、早期に対応をはかるべきだ」と環境生活委員会(11月4日)でただしました。

 道は、「アイヌの人たちを差別することを目的としたヘイトスピーチはアイヌ施策推進法に反する」とする国の見解を示し、「アイヌの人たちへの差別発言がなくなるようアイヌの歴史や文化についての道民の正しい理解の促進に努める」と答弁しました。

 真下氏は道見発言について、「議員の議会での発言は尊重されるべきですが、誤った認識のもとでアイヌ民族を侮辱する発言はけっして許されない」と厳しく指摘しました。理事会では「アイヌの人たちから不快感を示す声が届いている。今後は発言に留意すべきだ」と強調しました。

(「しんぶん赤旗」12月15日付より)