1000億円道路以上の血税をつぎ込む都心アクセス道路計画を審議した1月26日の札幌市都市計画審議会は、「コロナ危機のもとで、市民合意は得られない」など次々と委員の手があがり、議長を除く委員22人のうち反対1、保留6がでる異例の展開となり、3割以上の委員が同計画に反対、今回の採択に不同意を表明しました。

市民の合意得られない

 冒頭から市民の公募委員が、「前回の審議会の時とは現状が大きく異なっている。市民合意が得られない」と、採決の延期を提案。「(公募委員の)懸念は当たっている」とし発言した学識経験者委員も、「国の第三者委員会が地下整備案を議論したといういが、パンデミックが起きる昨年3月以前。いまでも第三者委員会の決定に変わりがないのか、もう一回検討しないのか、国に聞いてみる必要がある」と議論の見直しを求めました。

反対「意見書」が威力発揮

 「都心アクセス道路に反対する市民の会」が提出した、反対意見書も大きな存在感を示しました。

 「反対する会」は意見書の中で、「期待される効果」のどれもが客観的な根拠に欠けると指摘。「コロナ危機に直面しているときに不要不急の道路建設を推進すべきではない」と建設中止を求めました。

 学識経験者委員の一人は、「意見書をつくった人が納得するかどうかという思いでいる。コロナの危機が市民の意識を大きく変えた。そのことをふまえた案が必要ではないか」と発言。別の学識経験者も、「今日の採決に反対、意見書は今日配られたものであり、委員として反対意見書を検討したい」と、採決の延期を求めました。

「不同意」の事実、国へ

 「賛成と反対の他に保留もとってほしい。議事録に残し、国にもその結果を伝えてほしい」・・・この日、複数の委員が、通常は行われていない「保留」の意思確認をおこなうよう審議会の会長に要請し、提案が受け入れられました。

 終了時間が約1時間ずれ込む中でおこなわれた採決では、公募委員一人と学識経験者委員5人が「保留」の意志を示し、都心アクセス道路計画が審議会の「総意」ではないことを、はっきりと示しました。

事業計画は白紙に

 唯一、反対した日本共産党の田中啓介市議は、「事業費はもっと膨れ上がる可能性がある。コロナ対策にこそ予算をかけないといけないのに、なぜ1000億円道路なのか。一度白紙にすべき」と市民の声を代弁しました。

 傍聴した新婦人道本部の横井早苗さんは、「前回賛成していた委員の方も、保留を表明したことは新鮮でした。市の説明では、必要性を感じることはできず、市民目線で考えているとは思えない」と感想を語っていました。

(千田悟・党札幌市議団事務局長)

――「ほっかい新報」2月14日号より――