日本共産党と市民ネット北海道が共同提案した札幌五輪の賛否を問う住民投票条例案は、6月6日の札幌市議会本会議でも自民、民主、公明会派の反対多数で否決されました。
条例案に対する村上仁市議の討論(概要)を紹介します。

討論に立つ村上仁市議
30年冬季オリンピック・パラリンピック招致は国内のみならず、世界が注目する文字通り市政に関する重要な事項であり、市民の政治参加を保障し、市民意見を反映させる民主的なプロセスが必要だと考え、この議案を上程したものです。
今年3月に、ようやく本市が行った、無作為抽出による1万人への「意向調査」も、理解促進のための手法で行われ、公正さに欠けたことは問題です。
封筒には、調査用紙のほか、大会概要案、Q&Aが同封され、大会招致は、「市民生活に好影響を与える」、「大幅に経費が増えることはありません」、「さらなる経済効果も見込まれます」など、メリットを強調したQ&Aを読んでから回答に入るよう促されました。しかも調査票は、8つの質問項目のうちの5つが「大会概要を理解したか、できなかったか」に〇をつけさせるもの、散々メリットを強調してようやく8問目で賛否を聞くという、極めて誘導的なものです。
旭川、帯広など道内6都市の映画館来場者に対する街頭での意向調査は、協力者にはオリジナルバッジを提供するなど物品を使ったやりかたに市民から疑問の声が上がっています。
調査結果が52・2%の賛成であったことは、「一定の賛同を得た」とは言えず、むしろ、様々な策をもって多数の賛同を得ようとしたが、辛うじて50%を超える数字にしかならなかった、と解釈することが妥当です。市民の賛否は拮抗していることは明白ではありませんか。
市民の声を公正に聞くことなく、招致に走っている本市は、否定的な意見を持つ市民との軋轢を生じさせるばかりです。
大会招致は、自治基本条例に定める「市政の重要な事項」と、間接民主主義を補完するに足るものであることは、もはや誰の目から見ても疑う余地がない。市民の賛否が拮抗している以上、市民の意思確認を行うための住民投票を実施し、自治基本条例が謳う、市民が主体のまちづくりと共に、市民に開かれた議会とすべきです。
住民投票が行われることになれば、大会概要案について、今まで以上に広く、住民への情報提供と説明が求められますし、投票の周知を徹底しますから、当然、市民の関心も広がります。招致への理解が広がる土壌が作られるばかりか、市民の声を広く公正に聞こうとすることで市政への信頼にもつながり、大きな効果が得られるのではないでしょうか。
24年の夏季大会と26年の冬季大会において、世界各国の都市では、住民投票を実施しました。
札幌市も民主主義に基づき、住民意見を尊重する、世界に誇れる対応を議会が示そうではありませんか。
(「ほっかい新報」6月12日付より)