秋元市長(左)に予算要望書を手渡す党市議団(20・11・16)

 2021年第1回定例市議会が17日、開会されました。

 上程された新年度予算案は、北海道新幹線の30年札幌開業に合わせた不要不急の事業が温存される一方で、優先されなければならない新型コロナ感染防止対策や経済対策は、市民の願いに向き合うものにはなっていません。

 日本共産党札幌市議団は開会にあたり、組み替えを求めて力を尽くすことを表明します。

 

 予算案の特徴の第1は、不要不急の大型開発計画が温存されていることです。

 市は、民間業者と覚書を交わして進めてきた新MICE施設整備事業を、2023年3月まで延期して、再検討をおこなうことを決めました。

 一方で、1200億円もの血税を投入する、都心アクセス道路計画は、1月26日に開催された市都心計画審議会で3分の1の委員が「反対」「保留」の意思を表明したにもかかわらず、時間がないとばかり、強引に手続きを進めています。あまりに市民感覚とかけ離れたやり方です。党市議団は強く中止を求めます。

 

 第2は、感染対策が最優先になっていないことです。

 2030年の北海道新幹線の札幌開業にむけて、市は冬季オリンピック・パラリンピック招致をめざしています。その関連費用として前年比18%増の約3億5000万円を計上し、オリ・パラ基金も21年度末で約50億円を見込んでいます。

 オリンピックは、平和と友好の祭典といわれます。市民が苦しんでいるときに、その困難を取り除くことを最優先にできない自治体を、世界の人々が支持するでしょうか。冬季オリンピック招致関連や基金の一部をコロナ対策に振り向けるべきです。

 

 第3は、危険なマイナンバー普及推進の予算は見直しを。

 新年度予算案は、21年一定補正とあわせた「15カ月」として、過去最大の予算規模・1兆7566億円(同5・1%増)となっています。

 前年度の倍となる総事業費1000億円の再開発事業への補助は、今年度分だけで55億円を投入しますが、公共性の上からも検証が必要です。また補正予算には、国の新型コロナ感染症対策に対応した経費として、個人情報の流出が懸念されるマイナンバー制度の普及推進費が盛り込まれました。

 マイナンバーは菅政権が強力に進める「デジタル政府・デジタル社会」構築の目玉です。市は「デジタル推進担当局長」「スマートシティ推進部」を創設し、本予算と合わせ約12億円を計上し体制上も予算上も目玉施策です。

 推進のために、約100人近くの会計年度任用職員を配置します。感染症対策というのであれば、こうした非常勤職員を正規化し、感染防止対策に力を発揮してもらうべきではないでしょうか。

 

 第4は、コロナ危機を乗り越える予算に組み替えることです。

 新型コロナ感染症は、災害や感染症にたいし、日本の社会がいかに脆弱になっているのかを浮き彫りにしました。

 市長は、医療機関や介護、障がい者の施設の職員がおこなう、唾液PCR検査に補助することを決めました。関係者からは、歓迎の声が寄せられています。

 党市議団も取り上げ、市民の世論と運動で築いた前進です。感染拡大をさせないために、さらなる努力を求めます。

 本市は、非正規労働者やひとり親世帯など低所得者層が多く、地域経済も零細なサービス業などの第3次産業、中小企業が主役です。格差をただし、家計と地元経済を応援する施策、感染防止の最前線で働く市民や、社会になくてはならないエッセンシャルワーカーを支える支援こそが、コロナ危機を乗り越える大きな力を発揮します。

 子ども医療費無料化など他政令市と比べても遅れた施策があり重要課題が山積する本市にあって、切実な市民の要求や願いに応えるために予算案を抜本的に組み替えを求めて全力を尽くすことを表明します。

(日本共産党札幌市議団団長 村上 仁)

――「ほっかい新報」2月21日号より――