日本共産党北海道委員会は、以下の政策を発表しましたのでお知らせします。

2021 年総選挙政策
なにより、いのち。ぶれずに、つらぬく 北海道の政策

2021 年 10 月 日本共産党北海道委員会

自公政権を終わりにして、政権交代で命と暮らしを守る政治を

――「比例は共産党」の声広げ、畠山和也を再び衆議院に送り出してください――

 岸田首相が引き継いだ安倍・菅首相による自公政権は、弱肉強食の「新自由主義」のもとで、大企業や富裕層の目先の利益を優先して、命や暮らしを二の次にする政治を進めてきました。アベノミクスや消費税増税で格差が拡大、社会保障の削減など「もうけ」にならないケアが軽視されました。コロナ禍でその⽭盾が浮き彫りになり、多くの国⺠が危機にさらされました。社会的弱者の命や暮らしが脅かされる⼀⽅で、大企業と富裕層は空前の富を蓄積させました。

 新自由主義のもと、北海道では病院・病床や学校の削減、中小企業の淘汰、農業つぶし、鉄路の廃止が進⾏し、道⺠の暮らしが急速に壊されてきました。他⽅で、原発再稼働と「核のごみ」処分が狙われ、ますます住み続けることが困難な地域にさせられてきています。

 このたびの総選挙は、こうした自公政権にピリオドを打ち、命と暮らしを何よりも大切にする野党の新しい政権をつくる選挙です。日本共産党は、市⺠と野党4党による「共通政策」20 項目に合意、政権協力でも合意をしました。政権交代を実現するには、15 年の安保法制=戦争法の強⾏以来、⼀貫してぶれずに市⺠と野党の共闘をすすめてきた日本共産党の躍進が必要です。とりわけ北海道では、日本共産党の比例代表・はたやま和也の議席奪還が、与党 10 野党 10 の衆院議席の「与野党逆転」を実現させる最大の力になります。

 コロナ禍のもと、国⺠の命がかかった選挙です。“比例は日本共産党”を大きく広げていただき、日本共産党・比例代表のはたやま和也を再び国会に送り出して、新しい政治への扉を開きましょう。

コロナ対策――道民の命を守り、経済を支えるために

 コロナ感染拡大は、全国で死者 1 万 8000 人を超える大災害に発展しており、とりわけ北海道は感染者6 万人、死者約 1500 人に上り、感染者の死亡率が 2.4%と全国の 2.4 倍に至っています。今後絶対に感染爆発と医療崩壊を起こさない対策が必要です。

 国の⽅針のもと道内でもPCR検査が抑制されました。感染拡大が甚大だったにもかかわらず人口比の検査件数は全国平均とほぼ同じで、検査の遅れが症状の悪化や市中感染の拡大を招きました。医療体制や病床確保への支援不足は、基幹病院や介護施設での大規模クラスターと多大な犠牲の⼀因となりました。東京五輪の札幌開催をはじめとした感染抑止に逆⾏する施策も強⾏されました。

 自公政権は、コロナ対策にまで「自己責任」を持ち込みました。道内「第4波」の際に自宅で亡くなる⽅が続出したのに、8月には患者に「原則自宅療養」が押し付けられました。介護施設は、抜本的な支援や感染対策が取られず「自助」が中心です。医療機関は経営悪化や人員不足が深刻化し、コロナ患者を受け入れられない病院も多くあります。保健所は 54 か所から 27 か所に削減、札幌市で職員 57%削減されたところをコロナ化が直撃、札幌だけでなく旭川などで何度も甚大なひっ迫に陥りました。いのちを守る責任を現場に押し付ける政治は許されません。

 暮らしと経済も深刻です。持続化給付金が⼀回だけで打ち切られるなかで、20 年度に過去最多の5万の企業が廃業しました。全国のコロナ関連による解雇や雇止めが、今年7月時点で 11.3 万人を超え、「休業」とされたシフト制労働者は 20 年 4 月に 597 万人と、全労働者の1割近くにのぼりました。

 日本共産党は、コロナ感染の再拡大を防ぐため、「3本柱」(①ワクチンと大規模検査②医療・保健所への支援③まともな補償)の対策を進めます。

・ワクチン接種と同時に大規模検査をすすめます。「いつでも・誰でも・無料で」PCR検査を行う体制を整備します。職場、学校、保育所、家庭での自主検査を手軽に無料で行えるようにします。
・道内でも億単位の減収も出ている医療機関の減収補填と財政支援、医療者の待遇改善を行います。
・1992 年から半減された保健所予算を2倍化するなど保健所数と職員体制を抜本的に強化します。感染拡大の場合だけに臨時増員するだけでなく、定員化と正規職員化を進めます。
・コロナ危機で傷んだ暮らしと営業の支援へ、持続化給付金、家賃支援給付金の再支給、一人 10 万円を基本とする「暮らし応援給付金」を実施します。雇用調整助成金や休業支援金は、コロナ危機が終わるまで縮小させずに継続させます。

 

四つのチェンジで自公政権に代わる新しい政治を

1 コロナ危機を乗り越え、くらしに安心と希望を

1-1 医療、介護、保育、福祉など、ケアを支える政治にします。地域の病院を守ります

 自公政権は、医師数の抑制、病床削減、病院の統廃合を⻑年続けています。とりわけ公的・公立病院の再編統合は、消費税を財源とした財政誘導で進める⽅針です。道内 54 の病院がリストアップされ、コロナ対策で奮闘する旭川市立病院まで含まれています。北海道は、可住地面積 100km2あたりの病院数が 2.6と全国最低水準で、分娩可能な自治体は 31 しかありません。これ以上医療が弱められれば地域に住み続けられなくなります。

 75 歳以上の医療費窓口負担が、来年 10 月から値上げが強⾏されます。道内 17 万人の医療費が2倍に跳ね上がります。国保料の負担率は年々上がり、札幌市では加入世帯の平均所得が 100 万円以下なのに、国保料の負担はその2割にもなります。年金は、16 年の「年金カット法」が今年反映され、コロナ禍にもかかわらず 0.1%減額、今後 30 年で 3 割削減される⽅針です。道⺠の命を切り捨てる社会保障削減は抜本転換します。

・公立・公的病院の削減統廃合を中止し、地域の医師と医療機関を拡充させます。
・診療報酬の抜本引き上げを行います。
・医療費窓口負担の引き上げを中止させます。
・国保料は公費1兆円を投入して均等割・平等割を廃止、協会けんぽ並みに抜本引き下げます。
・年金のマクロ経済スライドを撤廃して「減らない年金」に切り替えます。
・障害者福祉・医療を無料にします。
・介護・福祉・保育職員の賃金や配置基準などの待遇改善をします。介護保険料・利用料の減免と介護施設の増設をします。
・国民の権利である生活保護を「生活保障制度」に改め、利用率・保護費を引き上げます。生活福祉資金「特例貸付」は拡充し、給付へ切り替えます。フードバンクや子ども食堂を公的に支援します。

1-2 8時間はたらけば普通に暮らせる社会、お金の心配なく学び子育てできる社会に

 大富豪の資産が 4 兆円から 24 兆円へと膨らむなか、実質賃金は 22 万円減少。北海道では、2017 年までの 20 年間に年間所得 400 万円以上 700 万円未満の人が 66 万人から 52 万人へ大幅に減少しました。とりわけ道内は非正規の割合が 4 割を超え、全国ワースト5位の水準です。

 学生もバイトを失い生活や健康が損なわれる人が増えています。日本は先進国最下位の高等教育予算のもと、学費は国公立大学でも 4 年で 243 万円、うち 28 万円は入学金という理不尽な制度です。コロナ禍のなか大学生のバイト代は道内自宅外生で2割減の 2.6 万円となり、昨年中に全国で約 3 万人が中退、うち 19%が「経済的理由」で学園を去りました。学生を支えることが急務です。

 合計特殊出生率が、北海道で 1.29(東京に次ぐ全国ワースト2位)です。とりわけ札幌市は 1.18(政令市ワースト1位)で、「子どもがほしくない」理由は「経済的に厳しい」がトップです(2016 年の市の意識調査)。お金の心配のない子育ての実現は、政治の責任です。

・非正規から正社員の流れを作るため、労働者派遣法を抜本改正し、派遣は一時的なものに限定します。パートの解雇・雇止めを規制します。長時間労働をなくすため、残業時間の上限を過労死ラインの「月 100 時間未満」から「週 15 時間、月 45 時間、年 360 時間」に抜本強化します。
・社会保険料減免などで中小企業を支援し、北海道で 889 円の最低賃金を全国一律 1500 円にします。
・大学・短大・専門学校の学費をすみやかに半額に引き下げ、高等教育の無償化を目指します。入学金制度をなくします。
・給付奨学金を奨学金利用者の約半数(学生総数の約 1/4)に支給し有利子奨学金は無利子化します。
・子ども医療費の無料化、学校給食の無償化を進めます。児童手当を中卒までから 18 歳までに引き上げ、子育て世帯への恒久的支援を拡充します。
・認可保育所を増設し、保育水準を確保しながら待機児童を解消します。

1-3 中小企業・農林水産業を支援して地域経済を立て直します。大企業・富裕層に応分負担を求めます

 北海道は中小企業の割合が 99.8%と全国平均より高く文字通り道内経済の根幹ですが、その3割が過剰債務のなかコロナ対策の融資でつないでいます。自公政権は、給付金を打ち切り、赤字なのに借金を背負わせ「自助」を求める、冷たい政治です。消費税 10%で中小企業の経営が圧迫され、中小零細やフリーランスなど免税業者を追い詰めるインボイス制度も、導入へ登録申請が始まりました。

 北海道の基幹産業である農林水産業も深刻です。コロナ禍での在庫過剰から米価の大暴落が起こり、道産米の5割を占める「ななつぼし」は⼀俵 2200 円減の 1 万 1000 円に。生産費は約 1 万 5000 円であり、「やっていけない」と離農者が大幅に増えかねません。⻑期にわたる自公政権の「農村壊し」のなかで、この 20 年間すでに道内の農家人口が 26.1 万人から 12.8 万人へ半分以下に激減し、地域の衰退の要因となっています。しかし、この期に及んでなおミニマムアクセス米の 77 万トンの輸入(国内需要の1割。北海道の生産量は 59 万トン)が続けられています。輸入自由化で砂糖工場の閉鎖も起こっており、バターや脱脂粉乳も価格維持へ保管しているのに輸入が拡大され、生乳の生産調整に追い込まれています。外国や多国籍企業の利益のために日本の食料主権を譲り渡すような種子法廃止や種苗法の改悪、拙速なゲノム編集食品の解禁も、許されません。

 漁業では、太平洋岸の赤潮発生が史上最悪の規模で広がり、サケやウニの大量死、コンブの質低下など、被害総額は 76 億円を超え、数年にわたる影響が懸念される深刻な被害に、抜本支援が必要です。

・持続化給付金、家賃支援給付金の再支給を行います。中小企業予算を1兆円規模に増額します。
・消費税5%減税とインボイス制度の導入中止を実施します。
・大企業優遇税制の廃止と大企業の法人税率を 28%に戻します。富裕層優遇の株取引への税率を欧米並みに引き上げます。所得税の最高税率を 65%に戻します。
・米価対策として、過剰在庫を国の責任で買い上げ市場から切り離し、コロナ禍の生活困窮者に提供します(アメリカでは政府が同様の施策を実施)。
・TPP や日米貿易協定など輸入自由化に歯止めをかけ、早期に自給率 50%台を回復します。WTOの協定上も「義務」ではないミニマムアクセス米の輸入はきっぱり廃止します。
・「価格保障」「所得補償」「担い手育成」を柱に、安心できる持続可能な農林漁業の土台を作ります。道内農業・漁業の9割以上を占める家族・個人経営を支えて農漁村を再生します。
・種子法廃止や、種苗の自家増殖の権利を奪う種苗法改悪は元に戻します。ゲノム編集食品の流通は認めません。グリホサートをはじめとする毒性の強い農薬の使用を禁止し、残留基準を強化します。
・赤潮被害は、大量死の実態と影響、原因究明を早急に進めます。漁業者に寄り添い減収支援と再生産に向けた支援を行います。水産資源を守り増やすための支援を行います。

1-4 国の責任で地域の鉄道路線を守ります。新幹線札幌延伸は凍結・中止を検討します

 鉄道の切り捨てが大問題です。JR 北海道は経営難から 16 年以降、鉄路を次々と廃止しています。駅の廃止、減便、運賃値上げなども強⾏し、いま留萌本線、根室本線(富良野−新得)、函館本線の「⼭線」等の廃止が狙われています。鉄道は生活を支える「足」であり、観光や物流など地域経済にも欠かせません。CO2削減としても世界で見直されています。ところが政府は、道路予算の 1/20 以下しか鉄道に充てず、JR 北海道の「命綱」として設けられた「経営安定基金」の運用益が目減りしているのに、抜本支援に背を向けてきました。イギリスは鉄道の「再国有化」を決定。日本も国の責任で路線を守り、住⺠の移動権保障と地域経済の維持に踏み出すべきです。

 他⽅で国は、1 兆 6700 億円をかける北海道新幹線の延伸を強⾏しています。新幹線は道内最大の赤字路線で、赤字額は JR 北海道の経常赤字に匹敵します。延伸しても航空機との「競合」で需要増の見通しがありません。何より、路線の8割を占めるトンネルから出る大量の有害掘削土はヒ素や鉛などを多量に含んでいるのに、飲料水の汚染や土砂災害などの危険から反対する住⺠の声を無視し、渡島、後志、札幌市内の各地で処分が強⾏されています。財政面、経営面、安全面、⺠主的な面で重大な問題があります。

・国が責任をもって、公共交通基金の創設などで全国の鉄道網を維持し、JR 北海道の「廃線ありき」の方針を抜本的に転換させます。
・北海道新幹線はいったん工事を中断し、住民合意のない有害掘削土の処分は中止します。延伸そのものも道民議論のもとで凍結・中止を検討します。

2 地球の未来を守る政治への転換――気候危機を打開する日本共産党の2030戦略

2-1 「核のごみ」は持ち込ませません。原発はただちに廃炉にします

 「核のごみ」最終処分場の調査が大問題です。寿都町、神恵内村はどちらも活断層や脆弱な地盤が広がっていて、10 万年もの間放射能を持つ廃棄物を処分するには危険です。日本学術会議が地上などで厳重に管理する「暫定保管」を提言しているのに、政府は「地層処分ありき」に固執しています。

 進め⽅も⺠主的でありません。道「核抜き条例」が無視されているうえ、周辺町村が相次ぎ反対を表明するなか、とりわけ寿都町では町⺠が賛否を表明する住⺠投票が封殺されるなど、首⻑の独断専⾏で住⺠合意が欠落しています。そもそも廃棄物を再利用しようとする核燃料サイクルが破綻しているのに、巨額の交付金をエサに処分地を釣り上げる⽅法はきわめて不適切であり、ただちに調査は中止すべきです。

 政府の原発推進政策も異常です。泊原発の耐震基準は⼀般住宅にさえ遠く及ばず、いつ被災してもおかしくありません。そもそも泊原発がなくとも電力は足りているうえ、発電コストも太陽光より高いことを政府さえ認めました。ところが北電は、自公政権の原発再稼働の⽅針を背景に、数千億円に及ぶ安全対策・維持管理費を泊原発に投入する⼀⽅、道⺠に全国最高の電気料金を請求しています。道⺠の⼀貫した反対世論も無視しており、あらゆる面で「失格」の原発はただちに廃炉にすべきです。

・寿都町、神恵内村の「核のごみ」文献調査は中止します。「処分法」を抜本改定し、専門家や国民の広範な議論をもとに地上等での管理などを含めた可能性を検討します。
・国内の全原発の廃止を決断し、泊原発をすみやかに廃炉にします。大間原発は建設を中止、幌延の深地層研究センターは研究を中止して閉鎖します。破綻した核燃料サイクルから撤退します。

2-2 省エネと乱開発を規制する再エネで、2030 年までに CO2を 50~60%削減します

 気候危機は、北海道においても深刻です。16 年には史上初めて4つの台風が北海道に上陸し 93 河川が氾濫。21 年夏には「100 年に⼀度」の水準で渇水し広範な干ばつが起こり、赤潮の原因に今夏の海水温上昇が指摘されています。大雪⼭の永久凍土が消滅する危険も指摘されています。国の目標 42%は低すぎるうえ、CO2の元凶であり国際的に排除されつつある石炭火力にしがみつく大問題が含まれています。

・2030 年までのCO2の削減目標を、国際水準に見合う 50~60%に引き上げます。
・2030 年までに、道内供給電力の半分を担わされている苫東厚真をはじめとした石炭火力を全廃します。釧路火力も石炭と輸入ヤシ殻などとの混焼であり廃止すべきです。
・再生可能エネルギーは、巨大企業への利益誘導による開発ではなく地元企業と住民主体で地域経済に利益が循環する仕組みで進めます。石狩湾の風力発電の大増設をはじめとする自然や住環境を破壊する乱開発は厳しく規制し、住民の参加と合意を基本にします。
・再生可能エネルギーの優先利用原則を確立します。原発の優先利用はさせません。道東を中心とした畜産系バイオマス発電の開発と送電線接続を推進します。
・暖房は、戸建住宅で消費するエネルギーの 2/3 を占めており、地場産の木質ペレットなどCO2排出実質ゼロとなる燃料への置き換えを推進します。
・2030 年までに、省エネで電力消費を 20~30%削減します。都市・住宅の断熱・省エネ化と自治体のゼロエミッションを進めます。

3 ジェンダー平等社会の実現、多様性と個人の尊厳を大切にする政治への転換

3-1 男女の賃金格差の是正とはじめ、あらゆる政策にジェンダー平等をつらぬきます

 コロナ禍のもと、20 年 4 月の女性就業者は男性の二倍近く減少、「女性不況」と呼ばれる事態に陥っています。そもそも北海道では、「週 60 時間以上はたらく男性の割合」と「女性の有業率が低さ」が全国最高水準で、女性により多くの家族的責任が担わされています。管理職に占める女性の割合が低く、賃金格差の要因にもなっています。自⺠党政治の根底にある、家⽗⻑制の日本を「美しい国」とする考えや、女性を「安価な労働力」とみなす財界に奉仕する政治を転換し、格差縮小を政治の責任で⾏います。

・男女の賃金格差の実態調査と是正計画の策定を企業に義務付けます。女性が多い非正規雇用を正社
員にする流れをつくります。女性が多いケア労働の賃金を引き上げます。
・長時間労働をなくし、育児介護休業の取得を昇給昇格において不利に評価すること等を禁止します。
男女を問わず家族的責任を担う労働ルールをつくります。
・意思決定の場に女性を増やす実効性ある施策やパリテ(男女議員同数化)の取り組みを進めます。

3-2 選択的夫婦別姓、LGBT平等法を実現し、同性婚を認め、多様性が尊重される社会を

 法律で夫婦同姓を義務付けているのは日本だけであり、国連からも是正勧告を受けています。自⺠党はかたくなに拒否していますが、4 月の道新世論調査では、68%の道⺠が導入に賛成しています。

 SOGI のあり⽅は自分の意思で変えることはできず、ありのままを認められることが必要です。17 年に札幌市で政令市初のパートナーシップ宣誓制度が始まり、21 年 10 月には 138 組が公的に認められました。他⽅で、扶養や相続、医療現場への立ち会いなどで配偶者と同様の権利が認められていず、制度のない自治体では通用しないなどの課題も残っています。今年 3 月札幌地裁は同性婚を認めないのは憲法14 条違反だと断じました。スティグマや差別の解消にも、同性婚を婚姻として認めるべきです。

・選択的夫婦別姓をただちに導入します。
・同性婚を認める民法改正を行います。
・LGBT平等法を制定し、いかなるSOGIでも権利が保障される社会にします。

3-3 性暴力・痴漢の根絶と、リプロダクティブ・ヘルス&ライツを保障する政治を進めます

 コロナ禍で、20 年度のDV相談件数が 1.6 倍に急増。女性の自殺者も 6091 人から 935 人も増加しました。DVの潜在化も懸念されています。性暴力被害相談センターは、東京では 24 時間 365 日受付可能ですが、北海道では体制が追い付いていません。支援が急務です。

・性暴力の暴行脅迫要件を撤廃して同意要件を新設します。性交同意年齢を引き上げます。
・性暴力被害センターや相談窓口の拡充など、被害者支援と加害者の更生支援を強めます。
・国際水準の包括的性教育を公教育に導入します。

3-4 アイヌ民族の先住権の回復を目指し、同化政策に対する公式の謝罪を行います

 ⺠族共生象徴空間「ウポポイ」が開業しましたが、アイヌ⺠族への差別が止みません。根底には、国と道とが明治以降、土地の没収、資源の収奪や強制移住を強いるとともに、強力に推進した同化政策でアイヌ文化や言語を「野蛮なもの」として否定し、今もって謝罪がないことがあります。なかでも、アイヌ⺠族の墓地から 2000 体以上もの遺骨を持ち去り、まるで動物の標本のように研究に供した「遺骨問題」は、アイヌの尊厳を踏みにじるきわめて非人道的な事件ですが、遺骨の返還はごく⼀部にとどまっています。

 07 年に国連で「先住⺠族権利に関する国連宣言」が採択され、自決権、土地にかんする権利、サケ漁獲権など、広範な「先住権」が明記されました。ところが 19 年に施⾏された「アイヌ施策推進法」からは先住権が欠如しており、国際水準からは程遠い内容です。「推進法」によりアイヌ⺠族にかんする自治体の事業に交付金を出す仕組みですが、事業にアイヌ⺠族がかかわることは担保されていず、自決権が反映されていません。同時に、アイヌ⺠族は同化政策により生活基盤を根底から破壊され、極度の生活苦が今の世代にまで連鎖しています。国の責任で、奪われた人権の回復や生活・教育の向上をすべきです。

・国と道が歴史的不正義に正面から向き合い、公式に反省・謝罪を行います。差別をなくす法的実効性を強化します。学校教育は不当な同化政策を学ぶ内容を拡充し「ウポポイ」の展示も見直します。
・アイヌ民族の遺骨は、国と研究機関が調査と再埋葬への支援に責任を負い、地域のアイヌ民族とのていねいな話し合いで謝罪と返還を進めます。
・アイヌ民族の自決権を支える「検討委員会」(仮称)を、アイヌ民族主体で設置します。「推進法」改定へ、先住権の明記や実効性ある施策を検討します。一方的に奪われた土地や資源についての調査や解決方法の検討に着手します。
・川のサケ漁獲権の否定を改め、まずは「許可制」から「届出制」に転換します。
・「敬老手当」「給付奨学金」「就業支援」で生活困窮からの改善を進めます。
・アイヌ語を学ぶ権利や文化伝承の権利を確立します。

3-5 子どもの尊厳を大切に支える教育にします

 コロナ禍によって、子どもたちの生活・教育環境が悪化しています。精神的な不安定や学力の格差が表面化しています。子どもたちを守るために、少人数できめ細かな教育が必要です。子どもの権利を保障する立場で教育環境を改善します。

・1 学級 20 人前後を目指して少人数学級をさら拡大し、学校統廃合や大規模な義務教育学校化を押し付けずに小規模な学校を維持します。
・教員の長時間労働の解消と定員増を進めます。
・ICT は使用を押し付けず、子どもの健康や発達を中心にすえて判断します。
・子どもの権利条約に基づき子どもの権利の擁護を位置づけ、いじめや体罰などに厳しく対応します。
子どもの尊厳と人権を守る観点で校則の抜本的な見直しを進めます。不登校の子どもを支援します。

4 憲法9条を生かした外交への転換で、平和な日本とアジアをつくる

4-1 9条改憲を断念させ、安保法制を廃止し、アメリカいいなりの政治をただします。核兵器禁止条約に参加し、憲法を生かした平和外交を進めます

 岸田首相は、憲法改定を「しっかり実現」したいと発言。安倍・菅政権と変わらぬ姿勢を続けています。核兵器禁止条約は世論調査で7割の国⺠が参加を求めるなか、広島出身でありながら「核抑止論」に立ち、核廃絶を訴える被爆者の声に背を向けています。

 この間、自公政権のもとで北海道の米軍「訓練場」化がすすみ、オスプレイの飛来を始め大規模な演習の固定化が進みました。土地利用規制法の強⾏で、旭川や札幌など都市部をはじめ、広く住⺠が監視される危険があります。

・自民党改憲案を断念させ、9条の改悪をさせません。15 年の安保法制=戦争法を廃止し、集団的自衛権容認を撤回します。日本国憲法の全条項を守り、9条に基づく平和外交を推進します。
・過去最多の 5.5 兆円に膨張を続ける軍事費は削減し、コロナ対策に回します。
・沖縄・辺野古の米軍新基地建設はただちに断念し、危険な普天間基地の即時無条件撤去をさせます。米軍の特権を認める日米地位協定は抜本的に改定します。
・北海道での日米共同訓練はさせません。矢臼別での米軍実弾射撃演習は中止させます。
・核兵器禁止条約を批准します。「核抑止論」から脱却し「核のない世界」を目指す立場に転換します。
・憲法違反の土地利用規制法を廃止させます。
・政治の「私物化」、「政治とカネ」の問題を徹底究明します。

4-2 ロシア言いなりをあらため、道理ある領土交渉を行います

 安倍政権は 18 年以降、「4島返還」という日本政府の主張さえ放棄して、経済協力を進めて事実上の「2 島決着」に⽅針を転換しました。しかしロシアは応じず、逆に憲法改定で領土の割譲を禁じ、千島を経済特区にして不当支配を強めようとしています。ロシアに屈従する「いいなり外交」は完全に破綻しており、千島の「全面放棄」になりかねません。
⻭舞・⾊丹は、そもそも北海道の⼀部であり、返還が当然です。さらに、「領土不拡大」という戦後処理の原則に立てば、旧ソ連による千島の占拠そのものが不当です。樺太千島交換条約に立ち返り、全千島が日本の正当な領土であると、ロシアに正面から訴えるべきです。

・「領土不拡大」の原則に反したヤルタ協定やサンフランシスコ条約に基づく戦後処理を正し、国際的な道理に立ち、歯舞・色丹の即時返還はもちろん、日本の歴史的な領土である全千島(国後、択捉を含む)の返還を正面から訴えます。
・平和条約は、領土問題が最終的に解決にいたった段階で締結します。
・領土問題に起因する疲弊した地元の状況を国の責任で支援するため、「北方領土隣接地域振興等基金」の拡充をはじめ地元支援を強化します。

以上

 

2021総選挙政策 「なにより、いのち。ぶれずに、つらぬく 北海道の政策」