日本共産党北海道委員会は12月23日、2023年札幌市議選挙政策訴え「2030冬季五輪招致はとりやめ、いのちとくらし最優先の札幌へ」 を発表しました。

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2030冬季五輪招致は取りやめ、いのちとくらし優先の札幌へ

—―2023年札幌市議選挙 政策と訴え――

2022年12月23日

日本共産党北海道委員会

[はじめに] 「秋元市政・オール与党」対「日本共産党と市民の共同」が大争点

「五輪と巨大開発優先」の政治か、「いのちとくらし優先」の政治か

2023年の札幌市議選挙は、「五輪と巨大開発優先」か「いのちとくらし優先」かが、正面から問われる選挙です。

秋元克広市長が推進する2030冬季五輪招致は、巨額の血税投入が見込まれ、東京五輪のように予算を大幅超過する危険があります。同年に照準を合わせた巨大開発も目白押しで、1000億円とされた都心アクセス道路は関連工事を含め1500億円に膨張。巨額の市債のツケを負うのは、市民です。他方で、「福祉の立ち遅れ」はますます深刻です。昨冬に破たんした除排雪体制は抜本的な強化がありません。困窮する市民の暖房費を補助する「福祉灯油」は、全道で札幌市だけが実施しませんでした。市民に冷たい市政に、「冬の五輪を進めながら冬のくらしは守らないのか」と不信が広がっています。子ども医療費助成は政令市最低水準、「学校減らし」の統廃合も推進。コロナ禍の死者が人口比で全国平均の約2倍なのに、保健師数が政令市で最低のままなど、命を守る支援はきわめて脆弱です。

市民の声を聞かず、安心と安全が置き去りに――「オール与党」市政の横暴

市長の政治姿勢でとりわけ重大なのは、命や安全が「二の次」で、市民の声に耳を傾けない点です。18年の胆振東部地震では被災地域の住民説明会に出席せず大きな批判を浴びました。22年2月の雪害では救急車が現場にたどり着けない事態に陥っても、「人命にかかわる状況でない」と発言。新幹線の延伸問題では、ヒ素などを大量に含む有害掘削土の処分を地元の圧倒的な反対を無視して強行しました。五輪問題では、「利権の巣窟」となった東京五輪を背景に市民の反対が大きく広がっていますが、市長は「支持少数でも招致」(22年2月15日付「道新」)と公言し、住民投票も拒否しました。世論に押され、全国規模の調査を行う意向を示しましたが、聞くべきは何より市民の声です。

横暴な市政運営の背景には、財界のもうけ優先の「国言いなり」の姿勢と、「オール与党」の市議会があります。自民・民主・公明の各会派は五輪招致に前のめりの市長を全面的に支え、当初予算や議案すべてに賛成するなど、チェック機能を失っています。

「市民が主人公」の市政へ――日本共産党の躍進で、「秋元市政・オール与党」の政治はチェンジしよう

こうした秋元市政に正面から対決して、「市民が主人公」の立場で「いのちとくらし優先」の積極的な提案をしてきたのが10人の日本共産党札幌市議団です。五輪招致の賛否を問う「住民投票条例案」や、市民を支える市政にするため「予算案組み替え動議」を提出。市民の医療・福祉・子育ての願いを届け、遅れている子どもの医療費助成を引き上げさせました。自民党市議が関与する統一協会等と市政・市議会の関係断絶など、他会派にはできない改革を求めてきました。

いま岸田政権による増税と軍事拡大、物価高やコロナ禍への無為無策、統一協会との癒着に、市民の不信が広がっています。4月の札幌市議会議員選挙は、「国言いなり」の秋元市政・オール与党と、「市民が主人公」を掲げる日本共産党が、正面から対決する構図です。冬季五輪招致と巨大開発をストップさせ、「いのちとくらし優先」の政治に転換するために、日本共産党を大きく伸ばしてください。市民の声が届く新しい札幌を共に切り拓きましょう。

 

・2030年の札幌冬季五輪招致は取りやめ、市民の命と暮らしを支える予算に組み替えます。

・東京五輪をめぐる疑惑の全容解明と、徹底した利権構造の解消を求めます。

・市民のスポーツする権利保障へ、体育館やプールなど身近な体育施設の維持と拡充、利用料の軽減、スキーリフト券助成の拡大、指導者の育成、藻岩山スキー場の設備更新、登山道整備をします。

[1] 市民不在の2030札幌冬季五輪招致は取りやめます

2030年の五輪招致には3つの大問題が存在します。日本共産党は五輪招致を断念し、いのちとくらしを優先する「5つのチェンジ」を提案し、その実現へ全力を尽くします。

東京大会だけでは済まない利権構造——解明なくして招致なし

第一に、東京五輪の汚職問題です。JOCの理事がスポンサー企業から巨額の賄賂を受け取り逮捕され、電通ら受注企業による大規模な談合事件が発覚しました。五輪憲章では平和な社会や人類の調和のとれた発展を目指すとうたわれていますが、理念とは無縁の五輪を利用した利権政治がまかり通っています。疑惑の解明と利権構造の解体なくして、新たな五輪招致はあり得ません。

市民の声を聞かずに招致に「前のめり」

第二に、市民の合意がありません。市が22年3月に実施した「意向調査」は、賛成に誘導する不公正なアンケートでしたが、それでも賛成は52%に留まりました。4月の道新世論調査では反対が57%に上り、招致中止を求める市民集会が繰り返されていますが、市長は招致に「前のめり」で住民投票についても重ねて拒否。党市議団が5月に提出した住民投票条例案や市民による12月の請願は、自民・民主・公明の各会派が「数の力」で否決・不採択。市長と「オール与党」の「市民の声を聞かない」態度が浮き彫りになりました。

アスリートからも、「(五輪を)利用されたくない」、「いったん止めようという判断も」と懸念の声が上がっています。市長は世論に押されて、招致イベントの縮小と全国規模の意向調査を行うと表明しましたが、「他の施策に注力してほしい」という市民の声にこそ耳を傾けるべきです。

30年先まで市民に「五輪負担」を強要——巨額の財政出動

第三に、膨大な経費問題です。五輪の経費は22年11月に170億円増額され、2970~3170億円になりました。五輪は過去60年間の全大会で予算を超過し、東京五輪では予算の2倍に上る1兆6989億円、周辺整備も含め約3兆円に達しました。猛烈な物価高のなかで建築資材は高騰しており、札幌大会の施設整備費770億円(うち市負担分490億円)はさらなる予算超過が必至です。新築する新月寒体育館にも建設費や維持管理費が「身の丈に合うか」(22年10月6日「朝日」)との疑問が上がっています。

財源に充てる市債(借金)は償還まで30年かかり、約50億円の利子が別途上乗せされます。秋元市政になってから一般会計の市債残高が膨らみ、22年度末には17%増の1兆1529億円になる見込みです。財政力指数が全国20政令市で17位の札幌市は、東京都のような巨大自治体と違って財政基盤が脆弱です。そのうえ、札幌市の一人あたりの市民所得は政令市で最低水準です。未来の市民に巨額の負債を負わせてまで開催する条件はありません。

経費のうち大会運営費2200~2400億円は全額JOCが負担するとしていますが、東京五輪でも長野冬季五輪でも税金が投入されました。大会運営費の大半はスポンサー収入とチケット収入であり、東京五輪の疑惑が深まるなか、見込み通りのスポンサー収入が得られる保証はありませんが、札幌市は「赤字にならないから市の負担は生じない」と強弁。これらの経費とは別に、招致を担う招致推進部に多い年で80人以上もの職員が配置され、15年~21年に約12億8700万円もの招致費が費やされるなども問題です。

五輪は招致せずに、「スポーツ振興」と「共生社会」が実現できます

札幌市は五輪を機にスポーツ施設の整備やバリアフリー化を進めるとしていますが、本来は五輪と関係なく今すぐ進めるべきものです。市は市民のスポーツ実施率向上へ「目標」まで設定していますが、専門家は五輪開催で国民のスポーツ実施率は増えないとの研究結果を公表(22年10月10日「朝日」)。市民はスポーツの実施に重要なことは「身近に行える場所があること」「お金がかからないこと」だとしており(14年札幌市スポーツ推進計画)、22年11月には新日本スポーツ連盟北海道連盟も「身近なスポーツ施設の整備こそ必要」と市に要望しました。

「スポーツ振興」のために、五輪招致は必要ありません。日本共産党は、市民がいつでもスポーツを享受できるよう、身近な体育施設の維持・改善や利用料軽減を進めます。市民に身近な指導員の育成や支援などの条件を整備します。市民がスポーツを行える金銭的・時間的な余裕を持てる労働環境の改善に、本気で取り組みます。

同様に「共生社会」の実現のためにも、障害者施策の抜本的な改善こそ急務です。市の「障害児者実態等調査」(19年)では、共生社会の実現のために「障害福祉サービスの充実」と「就労機会の充実」の要求が最多です。生活・就労支援の立ち遅れに目を向けずに「共生社会」を謳うならば、五輪開催の口実として利用しているだけとの批判は免れません。日本共産党は障害のない人との平等と公平を、あらゆる施策に貫き、障害当事者の声をよく聞いて、健康で文化的な日常生活を支える支援を、抜本的に進めます。([2]-1の「囲み」を参照)。

 

[2] 「5つのチェンジ」でくらし・福祉・人権を大切にする市政を実現しよう

1.第1のチェンジ いのちとくらしを支える「3つの支援」

・感染症対策として、保健所を2か所以上に増やし、保健師を抜本的に増員します。検査をすぐに受けられる体制、必要な医療をすぐに受けられる体制を整備します。

・コロナ禍で経営難の医療機関・高齢者施設を支援し、人員不足を解消する財政援助を行います。

・コロナ禍、物価高に苦しむ中小企業を緊急支援します。

・消費税5%への減税とインボイスの中止を求めます。

・「福祉灯油」を実施します。

・敬老パスの利用対象をタクシーやJRに拡大します。

・加齢性難聴に対する、補聴器購入の助成制度を創設します。

・国保料は、公費投入で保険料全体を抜本的に引き下げます。

・市営住宅を戸数減から戸数増に転換します。

・無料低額診療事業の薬局での利用を実現します。

・介護施設への支援と介護従事者の処遇改善、介護保険料・利用料を軽減します。特養ホームを増設して待機者をなくします。

・障害者総合支援法の「3障害一元化」をふまえ精神障害者の医療助成を拡充します。障害者の就労支援と「地域生活支援センター」を拡充します。65歳以上の介護保険への移行は強制しません。

・病院や区役所などに手話ができる職員の配置を広げます。

・生活保護制度の周知を進め、利用者の人権を守ります。必要な車保有を認めます。

・泊原発の再稼働、「核のごみ」の北海道への持ち込みに反対します。

・ヒグマとの共生へ、有効な対策である電気柵への補助と設置を抜本的に拡大し、目撃時の初動体制を強化します。

・消防と救急体制の拡充と、人権を守る視点で避難所・福祉避難所の拡充を進めます。

コロナ禍と猛烈な物価高による市民の生活苦が深刻です。コロナ感染症は12月21日現在でのべ50万人以上の市民が感染。1700人もの市民が亡くなり、人口比の死亡率が全国平均の約2倍に上る異常な事態です。同時に、物価高が市民の生活を圧迫しています。市内で行われる食料支援の取り組みには多くの市民が列をなし、「トリプルワークをしても収入が足りない」というシングルマザー、「一日一食が当たり前」という学生から、悲痛な声が上がっています。物価水準は2人以上世帯で年12万円もの負担増に達しており、消費税の減税と生活支援が急務です。地域経済を支える中小企業への抜本的支援と賃上げも不可欠です。

日本共産党は、以下の「3つの支援」で市民生活を立て直します。

①医療・保健・介護を支援する――コロナからいのち守る体制へ

札幌市のコロナ被害拡大の背景に、各区にあった保健所が1つにまとめられ、常勤保健師が政令市で最も少なくされたことや、介護を手厚くできる療養型病床も1万床(04年)から7600床(16年)へ減らされるといった、医療・保健の弱体化があります。いのちを守る拡充が急務です。しかし市は「国による対策」以上の独自策がほとんどなく、22年11月にPCR検査センターを廃止。これでは感染の波が来るたびに社会活動が停滞し、医療と介護の現場がひっ迫し、亡くなる人が増えるという悪循環から抜け出せません。日本共産党は、無料検査を拡充し、保健所・医療の人員体制強化へ予算を伴う思い切った対策を行います。

介護現場では、大規模クラスターが頻発して多数の犠牲者を出していますが抜本的な支援はなく、職員が疲弊しています。通所介護事業所は9割が減収に陥っています。介護職員の労働環境を改善し、事業所を財政支援する市の独自の施策を進めます。

②生活を支援する――「福祉灯油」実施で、「全道で唯一背を向けるマチ」の汚名返上を

「福祉灯油」は生活弱者への灯油代を補助する制度です。昨冬、全道179市町村のうち、札幌市だけが「効果は限定的」と実施を拒否する冷たい姿勢です。今年度こそ実施すべきです。

高齢者支援が不十分です。日本共産党は、地下鉄・バス・市電でしか使えない「敬老パス」を、JR・タクシーでも利用できるよう、拡充を目指します。難聴でお困りの高齢者が増えるなか、補聴器は高額で諦める方も少なくありません。認知症の進行を食い止めるうえでも、補聴器購入に助成制度を創設して支援します。

国保料があまりに高すぎます。札幌市で一世帯当たりの保険料が加入世帯所得の17%以上を占め、負担割合が他の保険の2倍にも上ります。市は、18年の国保の都道府県化に伴い独自の国保料軽減を廃止するなど、市民に寄り添う姿勢がありません。

市営住宅の戸数減も重大です。21年までの7年間で1081戸も減らされ、応募倍率は12倍へと上がり続けています。コロナ禍で住居確保給付金の利用が急増するなど、住居の確保に困窮する市民が増えています。「住まいは人権」の立場で削減から拡充に転換します。

③経営を支援する――中小事業者への独自の財政支援

コロナ禍と物価高のなか、コロナ対策の融資返済の見通しがたたないなど、厳しい経営を強いられています。「高齢の業者が廃業した」「消費税のインボイス導入前に店をたたむ」など窮状が訴えられています。地域経済の根幹をなす中小企業の困難は札幌経済全体の問題です。全面的に支援して、地域経済の立て直しを目指します。函館市や室蘭市などで独自の事業者支援が実現。旭川市では市内全飲食店への直接支援を実施しました。しかし札幌市の支援は、宿泊業、すすきのの飲食店、テレワークをする企業などに限定。業種を特定しない財政支援を求めます。インボイスの導入は、市内個人事業主やフリーランスの方々、市が支援する映像クリエイターの事業をも危うくします。消費税減税とインボイス中止を強く求めます。

同時に、福祉・教育・防災を支える公共事業や公契約条例で、地域経済の活性化と賃上げを実現させます([2]-4を参照)

 

2.第2のチェンジ 子育て負担「3つのゼロ」実現——子育てしやすい札幌へ

・「1つ目のゼロ」子ども医療費ゼロを高校3年まで目指します(12.8億円で可能です)。

・「2つ目のゼロ」学校給食費をゼロにします(72億円で可能です)。

・「3つ目のゼロ」国保の子どもの均等割負担ゼロを18歳まで実施します(3.3億円で可能です)。

・保育料の3歳児未満の負担をなくし、副食費も無償化します。

・学校統廃合と義務教育学校化による「学校減らし」は転換します。35人以下の少人数学級を全小中学校に拡充します。教員を抜本的に増やし、長時間労働など労働環境を改善します。

・就学援助の基準を生活保護の1.1倍から1.5倍に引き上げます。

・子どもの居場所づくりを進め、子ども食堂やフードバンクに支援する制度を創設します。

・保育従事者の処遇の抜本的な改善をすすめ、潜在的待機児童をゼロにします。

・民間学童保育の支援拡充、指導員の処遇改善、保護者負担の軽減をします。

・児童相談所の体制強化と専門性の確保、保護の必要な子どもと保護者の支援を強化します。ひとり親世帯の支援を拡充します。

・給付型の札幌市奨学金の採用枠を抜本的に増やします。

・高校生の1人1台のタブレット端末は、保護者負担をゼロにします。

札幌市の合計特殊出生率は、2020年に1.09まで下落。東京23区と全国20の政令市すべてで最低であり、子育て支援が急務です。子どもを持つ壁は「家計苦」だと7割の子育て世代が答え(22年11月22日「日経」)、札幌市も市民の子育てアンケートをもとに「経済面での不安が最大の障害」と認めています(第2期さっぽろ未来創成プラン)。にもかかわらず、札幌市の子育て支援は政令市の中でも最低水準です。

物価高のなか、負担を軽減する「3つのゼロ」で子育てしやすい札幌へ抜本的に転換します。

「子ども医療費ゼロ」「学校給食費ゼロ」「国保の子ども均等割ゼロ」へ

札幌市の子ども医療費助成は小学6年生までで、20の政令市で最も遅れています。道内では、中学3年生以上の無料化が79%の自治体で、高校3年生までも47%の自治体で実現しています。札幌市でも高校3年生までの実現を強く求めます。

学校給食費の負担も重くのしかかります。憲法26条では義務教育の無償が明記されており、規定通りに無償化すべきです。道内38市町村が独自に給食費の完全無償化に踏み出しました。

国保の保険料では、事実上の「人頭税」だと批判の大きい均等割について、旭川市は市費を投入して18歳までの子どもの均等割負担を5割に軽減。岩手県宮古市などでは全額免除が実現しています。札幌でも政治決断で可能です。

「学校減らし」——統廃合と義務教育学校化をやめて、子どもを最優先にした学びを

学校の統廃合も大問題です。市は、「学校規模適正化」として43校を統廃合の対象にリストアップ、国が15年から始めた「義務教育学校」(小中一貫校)の制度を利用し、市内の2~5の小中学校を1つの義務教育学校に集約することを狙っています。市はメリットを強調しますが科学的根拠はなく、先行する本州の自治体では、子どもの詰め込み、施設の狭隘化、「教員減らし」、通学路の延長など、弊害が指摘されています。当事者である子どもたちや住民らへの説明や合意も極めて不十分です。

市は、50年後までに公共施設を4%も削減する「目標」を立てて、学校を最大のターゲットにしています。機械的な「学校減らし」は言語道断です。コロナ禍や、不登校が急増する状況のなか、小規模校・少人数学級の教育効果が見直されています。日本共産党は、小規模校の維持・少人数学級を推進します。

虐待防止――子どものいのちを守る札幌へ

子どもの虐待への対策も不十分です。子どもの虐待死が相次ぐなか、市民の要求と日本共産党の論戦で、第二児童相談所の建設が決まりました。しかし、体制や専門性の強化が欠けています。

日本共産党は、児童相談所の児童福祉司など人員を強化、労働環境の改善を進めます。専門性の強化へ、職員の配属年数が平均1.59年と入れ替わりが激しい現状を変え、経験が蓄積される体制にします。保健センターの保健師などの体制・専門性の向上と、関係部局の連携強化を進めます。

  • くらし・福祉の遅れは深刻――冬季五輪や巨大開発よりも、やることがあります

主要11政令市(人口100万人超)との比較による札幌市の指標

主な指標

数値

主要政令市での位置

市民所得(18年度)

278.9万円

11市中最低

雇用者報酬(18年度)

434.8万円

11市中最低

非正規労働者の割合(17年)

39.9%

11市中3番目の高さ

事業所数の推移(2010-20年)

3709件減

減少率4.62%は4番目の高さ

合計特殊出生率(20年度)

1.09人

11市中最低

子ども医療費助成(22年度)

小学6年生まで

11市中8市は中3生または高3生まで

常勤保健師数(22年度)

13.7人(10万人当り)

11市中最低

国民健康保険料(19年)

130071円(17.6%)

11市中最も高い(加入世帯所得に占める割合)

介護保険料(22年度)

66270円(2.37%)

11市中2番目の高さ(市民所得に占める割合)

市民1000人あたり市職員数

11.6人

11市中10番目

令和3年度指定都市基本施策比較検討調(令和2年度決算編/札幌市議会事務局編集)など統計より作成

 

3.第3のチェンジ 生活道路の排雪は市民負担ゼロへ――除排雪のゆきとどく札幌市へ

・地域住民に生活道路の排雪費を課す「パートナーシップ排雪制度」を廃止し、全額市の負担で排雪をします(10億円で可能です)。

・除排雪の基盤強化へ、①除排雪単価を引き上げます。ダンプカーの重い維持費の負担軽減など、除排雪業者へ財政支援を行います。②業者の夏場の仕事の確保へ、福祉・教育・防災を強化する「市民のための公共事業」を抜本的に拡大します。③担い手の確保へ、適正賃金を保障し、長時間労働を正します。職業訓練などの支援で担い手を育成します。

・除雪の出動基準を引き上げず、圧雪を残す除雪方針は取り止めます。

・ダンプカーや運転手の確保へ、直営も視野に臨機応変な出動体制を強化します。雪堆積場の増設や関係機関との連携強化を進めます。

生活道路の排雪は市民負担ゼロに――「パートナーシップ排雪制度」はやめ、全額市負担へ

生活道路(10m未満)の排雪費の半額を地域住民に担わせる「パートナーシップ排雪制度」は、町内会によっては予算の過半を奪われるなど重荷になっており、負担軽減を求める声が上がっています。同じく雪の多い旭川市では排雪費を全額市が負担しており、札幌市もふみ出すべきです。

日本共産党は、生活道路を含め市が管理する道路は全額市の負担で排雪させます。費用は年間約10億円が想定されますが、五輪開催の市負担額490億円は、その50年分に上ります。五輪招致や巨大開発に費やされる予算を削減し、冬の暮らしを支える市政にチェンジします。

除排雪体制を立てなおす3つの提案――「機材」と「担い手」の支援が決定打です

昨冬の大雪害は、路肩の雪山が背丈を大きく超えるなか、けがの多発、通行障害やJR・バスの運休による交通マヒに加え、救急車が現場に到着できない事態も発生、市民は命にかかわる困難と経済損失を被りました。根本的には、ダンプカーなど機材とドライバーなど担い手の慢性的な不足が原因です。道内のダンプカー台数はこの25年で27%減少し、さらにドライバー不足で1割のダンプカーは稼働できていないと言われています(22年2月2日NHK、道運輸局調べ)。さらに市は、除雪従事者が今後5年で2割減ると試算しています。

ところが市は、機材や人員の体制強化ではなく、除雪の出動基準を降雪10cmから20cmにして路面に圧雪を残す「実験」的な除雪の拡大、「パートナーシップ排雪」の排雪量を減らす方式の本格運用など、機材・人手不足に合わせた除雪の「縮小」を図ろうとしています。

抜本的な解決の決め手は、除排雪の基盤である「機材」と「担い手」を拡充することです。日本共産党はそのために、予算をかけた3つの提案(「囲み」の①~③を参照)を推進します。

 

4.第4のチェンジ 大企業に奉仕する「3つの巨大開発」から、「市民のための公共事業」へチェンジし、賃上げを実現します

・1500億円にもなる都心アクセス道路の建設は中止します。

・都心再開発は、民間再開発もふくめ、規模や費用を抜本的に見直します。

・新幹線の札幌延伸はいったん工事を中断し、有害残土の処分は止めさせます。

・丘珠空港の滑走路延長計画は見直します。

・「市民のための公共事業」として、水道管・橋など老朽インフラの更新、保育・福祉・教育施設など公共施設の整備と耐震化、除排雪の拡充を抜本的に進め、地元中小事業者を振興します。公共施設の削減計画は見直します。

・「公契約条例」制定を目指し、賃金下限額を設定して市民所得の引き上げを進めます。

・最低賃金1500円の早期実現を求め、市が雇用する労働者を含め非正規から正規への流れを作ります。

・太陽光発電など再生可能エネルギーは、公共施設への導入を最大限進め、普及に向けて市民の負担を軽減します。市営住宅や一般住宅の断熱向上を進めます。

・バスを含め市民の移動する権利を確保する公共交通の拡充を進めます。中央区の市電の延伸と、清田区の公共交通の拡充(地下鉄の延伸など)を求めます。

・近郊農業を支援し、学校給食への地場産の食材活用をさらに進めます。

札幌市は、五輪招致を狙う2030年に照準を合わせた3つの巨大開発に巨費を投入しようとしています。前市政で札幌市は借金である市債残高を4割減らしましたが、秋元市政で市債残高が膨張。財政が逼迫するうえ、利益は地元業者よりも本州の大手デベロッパーやゼネコンに流れます。

日本共産党は、巨大開発を削減して地域経済や雇用への波及効果が高い医療や福祉を支えます。公共事業を地域の中小企業が潤う事業に転換し、地域経済の循環・強化と賃上げを実現します。

①「1000億円道路=都心アクセス道路」は「1500億円」に

一つ目は、創成川通の地下を都心から札幌北ICまで掘りぬく「都心アクセス道路」です。建設費は当初の1000億円から1200億円(市負担240億円)に高騰し、物価高によってさらに膨らむことは確実です。そのうえ、創成川通の10kmの下水道管を市が295億円かけて移設することが明らかになり、関連経費を含めた総事業費は1500億円に膨らみました。

市は渋滞緩和のために必要と言いますが、創成川通の混雑度は最も低い「A」だと市みずから試算しており、緊急性はありません。長大なトンネルは地震や洪水など災害に弱く、緊急車両の速達性にも問題が指摘されています。混雑解消ならば右折専用レーンの整備(170億円)など安価な対策で十分可能です。都市計画審議会でも、委員から多数の異論が噴出。計画は中止すべきです。

②民間の都心再開発にまで「青天井」の血税投入

二つ目は、秋元市政が進める都心再開発です。500億円規模のJR新札幌駅周辺再開発、北ガス跡地再開発、JR苗穂駅周辺再開発に加え、北8西1地区をはじめとした市中心部の4つの再開発事業など、巨費を投入する開発が進行し、新たな計画もされています。民間開発にもかかわらず、国と市が総事業費の15%も補助する制度にもとづき、湯水のように税金を流しています。さらに、総事業費の増額や市有地の処分などが市議会の承認もないままに進められています。一度立ち止まって、公共性や経費について再検討して、縮小や中止も含め見直すべきです。

●札幌市の主な都心再開発

総事業費

国と市の補助

北8西1

410億円

72億円

北3東11(苗穂駅北側)

190億円

28億円

南2西3

240億円

64億円

北4東6周辺(北ガス跡地)

300億円

48億円

JR新札幌駅周辺

500億円

 

北4西3

数百億円規模

 

大通東1

数百億円規模

 

北5西1・2(札幌駅南口)

数百億円規模

 

大通西4

数百億円規模

 

※2018年6月24日付北海道新聞より作成。事業費はさらに増額の見通し

※事業内容は、マンション、ホテル、オフィス、サ高住、商業施設など

③新幹線延伸——「負担増」「赤字」「有害残土押しつけ」の工事はいったん立ち止まるべき

三つ目は、北海道新幹線の札幌延伸です。国交省は膨大な建設費1兆6700億円がさらに6450億円増えると示し、市負担(当初予定350億円)も増額が確実です。他にも、札幌駅の改修60億円、東改札口と広場整備25.6億円など、周辺整備にまで巨額の血税が使われます。そもそも北海道新幹線は道内最悪の赤字路線であり、札幌延伸でも赤字の解消は見通せません。

住民合意がない環境破壊も大問題です。トンネル掘削に伴い、ヒ素や鉛、カドミウムなどを大量に含む有害な残土の処分が、8割の地域住民が反対に署名する手稲山口に強行。「地域住民の理解なくして進めることはできない」という市長の約束を反故にする背信行為です。さらなる処分候補地とされる手稲金山、厚別山本も、災害等の危険からそもそも適地と言えず、学校や病院を含む住宅地が間近に控えており、多くの反対の声が上がっています。工事をいったん凍結し、延伸そのものも再検討するよう求めます。

他にもある開発計画――住民負担が過大な「丘珠空港の延伸」は見直しを

市が10年後を念頭に丘珠空港の滑走路を1500mから1800mに延長する計画も問題があります。住宅密集地が近接するうえ、最大値78~86デシベルの騒音が発生しており、「保育園児が目を覚ます」「電話が聞こえない」など、今も生活に支障をきたしています。市は騒音基準の範囲内だから問題ないとしますが、そもそも国の基準自体が生活実態に合っていません。朝晩の運用時間の拡大、大幅な増便も計画され、さらなる騒音は避けられません。延長事業費250~350億円(地方負担23~30億円)の膨張も避けられませんが、市はさらに2000mへの延長も否定しません。不利益の説明や住民議論が全く足りず、このまま進めるわけにはいきません。

日本共産党が提案する「市民のための公共事業」——福祉・教育・防災で、地域経済の循環へ

札幌市は小規模事業者が全事業者の54%を占めており、地域経済を底上げするには、「地元中小企業の支援」が決定的に重要です。しかし市の施策は、巨大開発と道外企業の誘致が中心で、本州大手ゼネコンや道外資本のホテルなど、利益が市外に流出するばかりです。

日本共産党は、巨大開発計画は縮小や中止をして、保育・介護施設・市営住宅・学校や、水道管や橋・生活道路などの更新や防災を中心の地元業者に発注する「市民のための公共事業」へチェンジします。

市は人口減少を口実に学校など公共施設を削減する方針ですが、公共施設は市民のくらしの根っこにかかわる存在であり、画一的な削減は止めるべきです。水道配水管も災害で破損が相次いでいますが、耐震化率はたったの29%(2020年現在)しかなく、すべての耐震化に80年かかる計算です。

こうした施設・設備の整備を進めることは、市民の福祉と安全を向上させると同時に、冬場の除排雪を支える地元中小業者に夏場の仕事を提供し、市民の所得と消費をも増やします。「市民のくらし」を支え、「地域に利益が循環する経済」へ転換させます。

「賃上げ」の推進へ、「公契約条例」を進めます

札幌市は、政令市で3番目に非正規雇用者の割合が高く、市民所得は一人あたり274.8万円と政令市で最低です。消費を回復して地域経済を立て直すためにも、賃上げが重要です。

日本共産党は、最低賃金1500円の早期実現と、非正規を正規にする雇用の流れを作るよう提案します。さらに、「官製ワーキングプア」をなくす公契約条例の制定を目指し、市の発注事業の条件を適正化して、賃金下限額を設定することで賃上げを進めます。

社会保障も「ムダ」ではなく、経済効果があります。医療・福祉の事業者を支援することが職員の所得の向上につながり、「他産業と同程度の経済波及効果がある」と、党市議団の質問に副市長が答弁。医療・福祉の事業所が多い札幌の、地域経済の活性化に役立ちます。日本共産党は、医療・福祉・子育ての先進都市・札幌として抜本的に転換します。

 

5.第5のチェンジ 平和・ジェンダー平等・人権が守られる札幌へ

・憲法を市政にいかし、「平和都市宣言」の街として世界平和・核兵器廃絶に貢献します。

・日米合同訓練の拡大による「米軍の訓練場化」とオスプレイの飛行、土地利用規制法による市民の権利の規制に反対します。自衛隊への名簿提供を止めます。

・「札幌市平和訪問団」は小中学生だけでなく高校生の派遣を恒常化します。

・男女の賃金格差をなくすため、賃金格差の実態調査・公表、ケア労働の処遇改善、間接差別の防止、市職員の管理職への女性登用を進めます。

・性暴力と痴漢被害の実態を調査します。性暴力被害者支援センター(さくらこ)の相談を24時間365日の体制へ拡充させます。民間シェルターへの財政支援、被害者のケア、加害根絶のための啓発と更生を推進します。ハラスメントの禁止を求めます。

・包括的性教育を導入し、国際水準のジェンダー平等、性の多様性、人権保障を学べるようにします。

・「生理の貧困」対策へ、学校など公共施設への生理用品の設置を進めます。

・選択的夫婦別姓を認める民法改正を求めます。

・パートナーシップ宣誓制度をファミリーシップ(子どもの家族認定)などへ拡充します。同性婚の法制化を求めます。LGBTQ当事者の意見を市政に取り入れるよう市の計画に位置づけます。

・アイヌ民族の生活支援へ制度の創設・拡充をします。国際水準の先住権と歴史的不正義を認める立場を、あらゆる施策につらぬきます。アイヌ文化とアイヌ語の教育と普及を進めます。

・外国人差別を禁止し、生活支援を進めます。ヘイトスピーチを規制する条例制定を目指します。

「国言いなり」から、平和都市宣言を実現する市政を変えましょう

秋元市政のもと、「国言いなり」の姿勢が深刻化しています。安倍元首相の「国葬」に国民の6割以上が反対するなかで、市長は公費で出席。市役所に半旗を掲揚して弔意表明をしました。「国葬」はかつて侵略戦争の推進に利用されたもので、憲法に違反します。22年6月には、18歳と22歳の市民の個人情報を、本人の同意なく自衛隊に提供。戦場への動員につながる名簿提供は止めるべきです。10月には米軍と自衛隊が大規模な軍事演習を実施。丘珠駐屯地に危険なオスプレイを飛来させ、小学校上空で超低空飛行が目撃されました。日本共産党は、訓練中止と情報提供を求めましたが、市は背を向けました。国の悪政から市民を守る立場にたった平和施策こそ、実施すべきです。岸田政権による軍事費倍増に反対し、暮らしと経済の立て直しに予算を使うよう求めます。

ジェンダー平等から遠い市民の実態

ジェンダー不平等が固定化している実態も深刻です。ジェンダーギャップ指数が116位の日本において、北海道は「都道府県別ジェンダーギャップ指数」が最低水準です。札幌市のアンケートでは、「子どもといる時間」の平均が、母親が9.3時間に対して、父親は3.1時間。逆に「就労時間」は、母親が4.8時間に対して父親が9.9時間です。女性の有業率は47.5%と低く、そのうち6割以上が非正規雇用です。女性に家庭的責任が重くのしかかり、男性は長時間労働に拘束されている——この実態を、根本から是正しなければなりません。

性暴力の根絶・「生理の貧困」の解消を

コロナ禍で増加するDV・性暴力への対策と、リプロダクティブ・ヘルス&ライツの保障も急務です。性暴力は「魂の殺人」とも呼ばれ、人生に深刻な影響を及ぼします。22年に日本共産党北海道委員会は痴漢被害を独自に調査し、被害者の78%が18歳以下、35%が12歳以下という深刻な実態を明らかにしました。しかし、「性暴力被害者支援センター(さくらこ)」は夜間や土日祝の相談対応ができません。日本共産党は、支援と体制構築に全力を尽くします。

経済的理由などで生理用品を入手できない「生理の貧困」対策も遅れています。党市議団は、すべての学校のトイレに子どもたちが無料で使用できる生理用品の設置を要求。すでに帯広市、室蘭市、苫小牧市など道内11市で実現しており、札幌市もすぐに実施すべきです。

 

・姉妹都市の交流事業での市議参加は、他都市並みに縮小・規制します。

・議員の海外視察は廃止します。

・政務活動費を10%削減します。

6.「市民不在」の議会と行政を、「市民が主人公」へ――議会と行政改革

自民・民主・公明による、秋元市政に「なんでも賛成」の弊害――議会のチェック機能を果たさせます

市議会は現在、自民党27、民主市民連合19、公明党10、日本共産党10、市民ネットワーク北海道1、山口かずさ1です。自民・民主・公明の3会派による事実上の「オール与党」体制で、3会派は当初予算と市長提案の議案すべてに賛成しています。30年五輪招致の是非を問う「住民投票条例案」では、党市議団が「住民投票が住民への情報提供と招致への理解につながる」「市民意見を反映させる民主的プロセスを」と求めたのに対して、自民・民主・公明は、「意向調査で市民参加を実現した」などと否決。さらには22年12月に提出された住民投票を求める市民の請願も、たった1回の審査で不採択としました。過去の開催国では住民投票で是非を判断しており、背を向ける道理はありません。

新幹線の有害残土の処分問題でも市民の陳情が6件も提出され、星置地域の住民が署名をもとに「説明会の実施」を求めた陳情も、自民・民主・公明が反対して否決。説明会さえ認めない、異常な姿勢です。

五輪招致は市民世論が二分しているのに、なぜ見直しすらされないのか、疑問が寄せられています。自公が相乗りした19年以降、市長提案は次々成立するのに、市民が提出した請願や陳情は次々不採択に。審議が尽くされないまま棚晒しとされる陳情も少なくありません。「無駄遣いをやめさせたい」という市民の願いを市政に届けるには、本来の役割である議会のチェック機能を発揮しなくてはなりません。

海外視察を容認——議会を改革します

市民目線から見て「特権的」と批判のある市議の海外視察。市議会として市議全員に1人80万円の「大判振る舞い」を認めているのは札幌ぐらいです。日本共産党はきっぱり廃止を要求します。政務活動費の10%削減など、議会改革に正面から取り組みます。

姉妹都市交流へ市議12人参加——市民感覚に合わせた行政改革を進めます

市議12人が、市長らと共に公費1263万円でドイツへ行き「交流」しました。10の主要政令市の公費派遣は1~2人が通例ですが、札幌市は人数に規定もなく歯止めがありません。人数や経費を他都市なみに引き下げます。市民参加の交流は拡大を目指します。

 

[3] 「対決」「共同」「提案」—市民の声を届けてきた日本共産党札幌市議団

日本共産党札幌市議団は19年に10議席に躍進し、3つの力を発揮してきました。①「対決」オール与党に対抗して市民目線で不公正な市政をチェックする力、②「共同」市民と共に行動して市民の要求を実現させる力、③「提案」市民の声を生かして財源も示した対案を示す力——こうした奮闘で、たくさんの成果を上げてきました。

自治体の役割は、「住民の福祉の増進」であると地方自治法第一条に明記されています。日本共産党は、五輪と巨大開発優先へ変質する札幌市政・オール与党に正面から対決して、自治体本来の役割を発揮する「市民が主人公」の札幌市へチェンジさせるため、決定的な力になります。

1.2年連続で予算組み替え動議の提出――市民のいのちとくらしを守る責任ある対案示す

党市議団は、コロナ感染拡大のなかでも不要不急の大型開発を進める当初予算案に反対し、「予算案の組み替え動議」を21、22年度に提出。予算の1%を組み替えていのちとくらしを守る具体的な提案を行いました。自民・公明・民主の反対で否決されましたが、市長の政治決断でできるものばかりです。このように財源も示す組み換え提案をしているのは日本共産党だけです。

2.五輪招致の住民投票を求める条例案の提出――「市民が主人公」の自治基本条例と議案提案権を生かした条例案提出

2030年冬季五輪招致の是非は、市民の意見をもとに判断すべきとして、22年に「住民投票条例案」を市民ネットワーク北海道と共同提出。自民・民主・公明により否決されましたが、「札幌市自治基本条例」第22条の「市政に関する重要な事項について、住民投票を実施することができる」という規定を市議会史上初めて発動させようという、画期的な試みになりました。

3.統一協会との癒着を厳しく追及、国葬参加にNO——「良心のとりで」として唯一のチェック機能

党市議団は、市が統一協会系の団体とイベントを共催していたことや、自民党議員が統一協会の関連団体への支出に政務活動費を充てていた事実を独自の調査で明らかにしました。カルト集団の統一協会に市民の税金が投入される実態は許されないと、議長に対して市議会として関係を断つことと、会派と議員に自己調査と結果公表を働きかけるよう申し入れました。22年第3回定例会の代表質問では、全会派のなかで党市議団が唯一、統一協会と行政や市議会の関係断絶と市民への情報公開を求め、市長による安倍元首相の「国葬」への公費での参加問題を追及しました。自民・民主・公明の各会派はこれらの問題に一言も触れずに、冬季五輪招致を求める「大合唱」でした。

4.子ども医療費の助成小6まで拡大――子育てを支える大きな力に

子育てにかかる負担軽減をめざして、子ども医療費無料化を求める署名を届け、要望を繰り返す保護者や民主団体といっしょに活動し、20年に小学3年まで、さらに21年度から小学6年生までの拡大を勝ち取りました。

しかし、小学6年生まで助成にとどまっているのは20の政令市で札幌、広島、岡山の3市のみです。6市が高校3年生まで、10市が中学3年生まで実現しています。さらに、初診時580円の一部負担金があり、所得制限もあるなど、完全無料化にはなっていません。さらなる拡充へ、高校3年生までの完全無料化を強く要求します。

5.コロナ検査の拡大、ワクチン接種会場の増設――いのちを守る具体策を実現

党市議団はコロナからいのちとくらしを守る対策を、議会論戦や11回の緊急申し入れなどで繰り返し要求。「医療や介護職員等希望者全員にPCR検査を」と関係者と力を合わせて求め、療養型病床を持つ医療機関や福祉施設など約580カ所で実現しました。その後も拡充を繰り返し求め、対象外とされていた入所型の高齢者施設がおこなうPCR検査への補助、通所・訪問・ショートステイなどへの抗原検査キットの配布、オミクロン株の感染拡大で保育所の抗原検査実施など、大規模クラスターを防ぐための予防的な検査拡大へ道を拓きました。

ワクチン接種では、供給不足による混乱や「医療現場任せ」の対応を追及し、安心・安全な接種の拡大を市の責任で行うよう求めてきました。21年3月には集団接種会場であるコンベンションセンターへのシャトルバスを運行させ、7月には全10区にワクチン集団接種会場が設置される拡大が実現しました。

就学援助でも、コロナ禍での家計急変世帯も対象とするよう、他市の実績も示して特例の実施を求め、実現させました。

6.物価高騰対策で水道料金の2か月減免や子ども食堂支援が一部実現——くらしを守る支援を前へ

党市議団が物価高とコロナ禍から市民生活を守れと求めてきた水道料金の減免について、基本料金の2カ月分免除が全市民対象に実現しました。さらなる減免を求めます。子ども食堂へ支援を求め、22年10月から食材費の支援が実現。家賃や光熱費などへ抜本的な支援を求めます。

国の行う住民税非課税世帯への「5万円給付」について、世論と運動とともに拡充を求め、市に「1万円の上乗せ」をさせました。国からの交付金が財源ではありますが、一歩前進です。

7.生活保護のポスターを市で作成——「利用は権利」と周知へ

いのちを守れと、生活保護の利用拡大を求めてきた結果、市が「生活保護は権利」と明記したポスターを作成して、区民センターなど公共施設への掲示が実現。市民団体と共にさらなる増刷を求めています。他県からの問い合わせもあり、同様のポスターが作成されるなど、全国的に注目されています。さらに党市議団は、無料低額診療の医療機関の周知も求め、副市長が「検討したい」と約束。21年度からHPでの公開が実現しました。

8.パートナーシップ宣誓制度が前進——市営住宅への入居が可能に

2017年にパートナーシップ宣誓制度が実現し、その後も性の多様性を求める市民の声をもとに党市議団は制度の拡充、改善を求めて論戦。20年4月から、市営住宅の入居が可能になりました。21年には札幌地裁が同性婚を認めぬ規定を「違憲」と断罪。党市議団は国に対して法制化を求めてきました。

深刻な性暴力を根絶するために「不同意性交等罪」の創設を国に求めるとともに、市として差別をなくす「人権課」の設置を求めてきました。

9.ヒグマと共生へ電気柵の拡大――安心・安全なすみ分けへの力に

党市議団は、ヒグマが市民の生活圏に現れないようにするため、電気柵の有効性を市に認めさせ、実証実験につながっています。ヒグマ目撃後の初動対応で「追い払い」を重視することや市の体制強化で、人との共存のために様々な専門家の意見を取り入れた対策強化を提案しています。

10.中小業者支援で、販売促進支援事業の不採択事業者を救済

党市議団は、中小業者を支援する「商業者グループ販売促進支援事業(21年度)」について、43の事業者グループから申請があったのに予算不足で30グループが不採択になった問題で、拡充を要求。予算が拡充されたうえ、22年度から「商業者グループデジタル販促応援費」に名称変更して、不採択になった事業者の事実上の救済措置が実現しました。

11.スキー場のリフト料金無料化、スケボーの練習場でドームを無料開放

市民のスポーツをする権利を保障へ、経済的負担の軽減として繰り返し求めてきたスキー場リフト料金とスケート貸し靴への助成が、20年度から拡充され、小中学校の全学年が利用できるようになりました。助成を1000円からさらに引き上げるよう求めます。

競技人口が増えているスケートボードについて、愛好家が練習場所の設置を要望、党市議団は利便性の良い場所へのスケボーパークの開設を強く求め、22年に市は札幌ドームの敷地の一部を無料開放する方針を決めました。

12.意見書36本を提案、市民の願いを国に届ける(別表)

今期、22年第4回定例会までに94本の意見書・決議案が採決。党市議団は36本の意見書案を提案し、24本が可決されました。22年12月には民商婦人部が可決を呼びかけた所得税法第56条の見直し検討を求める意見書が全会一致で採択、関係者に喜ばれました。「コロナ感染症の後遺症対策への財政支援」、「性的マイノリティーへの理解促進」は自民会派が反対したものの可決させるなど、党市議団の提案力が発揮されました。一方で、原発再稼働の撤回、石炭火力ゼロを求める意見書は、自民、公明が反対。「減らない年金」の実現を求める意見書は、民主なども反対。市民に寄り添う立場を貫いているか、態度の違いが鮮明になりました。

●意見書

自民

民主

公明

共産

ネット

可否

2022年度

所得税法第56・57条の見直しに向けた検討を求める意見書

次世代型原発の開発・建設の検討、既設原発の再稼働を推進する新方針の撤回を求める意見書

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新型コロナウイルス感染症の後遺症対策への財政支援を求める意見書

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2030年冬季オリンピック・パラリンピックの北海道・札幌招致に関する決議

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2021年度

実効性のある特別支援学校設置基準の制定及び特別支援学級の学級編制標準の改善を求める意見書

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石炭火力による発電量をゼロとする目標年限を表明することを求める意見書

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社会における性的マイノリティーへの理解促進を求める意見書

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後期高齢者の医療費窓口負担割合の現行1割の継続を求める意見書

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2020年度

国民健康保険において交付金の減額につながる懸念のある保険者努力支援制度を導入しないことを求める意見書

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2019年度

日米共同訓練の規模縮小とオスプレイ参加の中止を求める意見書

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核兵器禁止条約の署名と批准を求める意見書

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マクロ経済スライドを廃止し「減らない年金」の実現を求める意見書

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本年10月からの消費税率10%への引き上げ中止を求める意見書

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  • 市民の陳情

2022年度

冬季五輪招致に関する札幌市民の意思を確認するための住民投票の実施を求める請願

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不採択

北海道新幹線・札樽トンネルから発生する有害掘削土の受入れを決めた札幌市と鉄道・運輸機構の「協定」の即時破棄、及び山口処理場への有害掘削土の搬入工事の中止、ならびに原状回復を求める陳情

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不採択

※◎は提出会派 ○は賛成 ×は反対

[4] 日本共産党の躍進が政治を変える大きな力になります

日本共産党札幌市議団は、2019年に市内全10区から10議席を獲得する躍進をさせていただきました。秋元市政が、「オール与党」議会を背景に五輪招致と開発中心の姿勢に転換するなか、市民の声をまっすぐ届ける立場で秋元市政に対決し、市民との共同の力で、命と暮らしを最優先に具体的な提案を重ね、市民の願いを実現する役割を果たしてきました。市議会の6つの常任委員会(総務、財政市民、文教、厚生、建設、経済観光)だけでなく、4つの特別委員会(大都市税財政制度・災害対策調査、総合交通政策調査、冬季オリンピック・パラリンピック招致調査、新型コロナウイルス感染症対策調査)すべてに、共産党市議が委員として配置。まちづくりに欠かせない都市計画審議会にも新たに加わり、都心アクセス道路や日照権や景観保存など巨大開発による問題を追及。石狩西部広域水道企業団議会では、水道料金の引き上げを抑制する監視の目を光らせてきました。党市議団がさらに伸びれば、こうした委員会へ確実に議員を配置でき、お金の使い方をチェックする監査委員にも加わることができ、発言権を強めることができます。

いま、「冬季五輪と巨大開発」優先か、「市民のいのちとくらし」優先か、市政を揺るがす大問題が問われる激動の情勢において、冬季五輪招致を止めさせ、市民のいのちとくらしを優先する市政に転換する決定的な力が、日本共産党札幌市議団です。

2023年の札幌市議会選挙では、過去最多の12議席の獲得を目指し、市民の声が届く札幌市に大転換させる決意で全力を尽くします。市民のみなさまのお力を、どうかお貸しください。

以上