コロナ危機の下で、「バイトがなくなる」「シフトが減らされる」などで収入が減り、学生の困窮が広がっています。日本民主青年同盟北海道委員会は、ボナペティート北海道(ボナキタ)を立ち上げて学生食料支援(フードバンク)に取り組みました。
 日本共産党や農民連など民主団体とも協力して、全道各地に広がったフードバンク。宮内史織道委員長にこれまでの取り組みを振り返っての思いを聞きました。

江別市に申し入れる宮内委員長(中央)

「2~3日食べてない」の衝撃

―フードバンクの取り組みが全道に広がり、テレビも含め多くのメディアが報道するなど、反響を呼んでいますね。

 これまで600人以上の青年、学生がフードバンクを利用し、約300人分の実態アンケートを集めてきました。
 衝撃的だったのは、昨年8月、初めて取り組んだ江別のフードバンクに訪れた学生の「2~3日食べていない」との声です。親からの仕送りもなく、バイトで生活費をまかなっていたその学生は、「一律10万円の給付金はもうない。高校生のときからバイトをして貯めていた貯金を切り崩して生活している」と話してくれて、学生の切実な実態が浮き彫りになりました。多く出されたのは、バイトの収入が減少したという声です。

―他にはどんな声が寄せられましたか?

 「実習ができない」「授業についていけているのかわからない」などオンライン授業への心配や不安の声も多く出されました。
 入学したばかりの1年生からは「オンライン授業で毎回レポート提出になったが、どう書いたらいいのかわからないし、図書館も使えない。授業についていけるかどうか、学生任せになっていると思う」という悩みが話されました。

江別市での学生食料支援

食料だけでなく 生活相談で支援

 また、多くの学生が休業支援金などの支援制度があることを知らないか、知っていても「自分は対象じゃない」「バイト先に負担がかかるのでは」とあきらめている現状もあります。民青が行ってきたフードバンクでは、食料を配るだけではなく、学生が困っていることを聞き、生活相談で支援につなげていくことも重視して取り組んできました。

―取り組みを通じて仲間も増えています。

 フードバンクの取り組みを通して実感するのは、青年、学生のなかにある「今の社会はおかしい。社会を変えていきたい」という強い願いです。取り組みの中では、そうした学生の願いに寄りそい、一緒に社会を変えようと働きかけることを大事にして進めてきました。
 フードバンクに来てくれた学生が、今度は自分も支援する側にとボランティアとして一緒に取り組みを進める中で、民青の活動に共感してくれて加盟を決意しています。

―今後の取り組みについて教えてください。

 この2月、3月にも新しいところも含めてフードバンクが予定されています。北海道にはまだ多くの学生がいるので、この取り組みを広めていくとともに、さらに多くのアンケートで実態を集めて国や行政へ届けて、学生支援を進めてもらうよう働きかけていきたいと思います。
 大変な困窮のなかでフードバンクに来ているのに、多くの学生が「他の人の分もあるから」「私がこんなにもらっていいの」と、躊躇(ちゅうちょ)してしまいます。こちらが「これもいる?」と袋に入れて、ようやく持って帰ることができる学生もいるくらいです。
 フードバンクの取り組みを通して、困っているときは誰かに頼っていいと思ってもらいたい。そして、民青に入って一緒に社会を変えようと訴えていきたいと思います。

(「ほっかい新報」2月7日号より)