日本共産党の紙智子参院議員は17日、「コロナ禍における肉牛価格の下落から肉用牛肥育農家の経営を守り、地域経済の支援を求める質問主意書」を政府に提出しました。

 新型コロナウイルス感染症の拡大による外食やインバウンド需要の減少で、東京市場の4月の和牛枝肉価格は去勢A4で1キロ1688円、前年比30%安となりました。8月の価格は少し持ち直しましたが、依然安い水準が続いています。

 政府は、肉用牛肥育経営安定交付金制度(牛マルキン)を発動するとともに、持続化給付金などの支援を行いましたが、ある肥育農家は2月末から発生した1500万円の赤字を解消するに至っていないと訴えるなど、多くの肥育農家の苦境が続いています。

 環太平洋連携協定(TPP)や日米貿易協定の発効で安い牛肉の輸入が続いていることも生産者に大きな不安を与えています。

 肥育農家の経営危機は、コロナ禍にともなう枝肉価格の暴落だけでなく、政府が東京オリンピック需要や輸出拡大に向けて推進してきた和牛の増産政策にも起因しています。

 質問主意書は、牛マルキンが発動されても膨大な赤字が解消されていない事態をどう認識しているのかとただし、牛マルキンを満額支援し、コロナ禍に対応した独自の経営支援を行い、学校給食に和牛肉など地域食材を生かす支援を拡充するよう求めています。

(「しんぶん赤旗」9月28日付より)