北海道新幹線札幌延伸工事は、環境基準の270倍を超える猛毒のヒ素などの有害掘削土が北海道北斗市で出土し、各地で不安と反発が強まっています。日本共産党道委員会は5日、住民の反対運動が広がる地域の党議員や担当者で残土問題オンライン会議を開きました。

 はたやま和也道JR対策本部長・前衆院議員は、基準をはるかに超えるヒ素が大量に含まれる「条件不適土」を2年間、北斗市議会や市民に隠し続けてきた事業主体の鉄道・運輸機構を批判。「札幌延伸を見直し、工事中止を求めて再検討を求めたい。”住民合意なく有害残土を押し付けるな”との運動を広げることがますます重要です」と述べました。

 「道と機構は情報提供すると言いながら、住民の不安にまったく答えようとしない」と菊地葉子道議。道議会でも、合意なく強行しないよう厳しく迫ったと報告しました。

 残土置き場の候補地とされている地域の地方議員や運動団体代表が次々発言しました。

 昨年11月、新たな仮置き場に別の私有地を決めた北斗市。前田治市議は「工事は中止しているが、工事現場から仮置き場までの28キロの周辺には子どもたちが通う小学校や住宅地がある。ダンプが舞い上げる粉じんの健康被害が懸念される」と警告します。

 小樽市の川畑正美市議は、塩谷地域で3件目の候補地をめぐって事前調査中で、「すべて市街地に至る塩谷川に水が流れ込む地なのに地域住民とは協定がない、市も住民を守る立場になく、機構任せだ」と告発しました。

 小樽・朝里の水を守る会事務局長の高野敏明氏からは、採石場跡地で搬入を狙っている朝里地区は、土砂災害警戒地域のうえ、市民の水道水の6割を供給する浄水場に近く、飲み水にも影響すると警鐘を鳴らしました。

 札幌市の村上仁市議は、厚別区山本地区で住民と党の反対運動、佐々木明美市議は、手稲区の金山、山口両地区の反対運動をそれぞれ報告しました。

 村上氏は「コロナ禍で1000億円道路、新幹線延伸は必要かの世論がわき起こっている。市民に問題を知らせ、住民運動と一体に市議会で取り組んでいく」と語りました。

 まとめで、はたやま氏は、紙智子参院議員が国会で残土問題を取り上げ、国土交通相が「住民合意がなければ工事はできない」と答えたと強調。「現場では必ず矛盾が激しくなってきます。全道の課題として取り組んでいくことが重要です。住民の声をつかみ、心一つに住環境や自然・水質を守る取り組みを進めていきましょう」と呼びかけました。

(「しんぶん赤旗」2月10日付より)