平和な未来と希望あるくらしを拓く
―日本共産党の2022年参院選北海道政策―

2022年6月15日 日本共産党北海道委員会

戦争ではなく平和へ、くらし支える「やさしく強い経済」へ
「比例は共産党」で5議席といわぶち友の再選必ず、北海道からはたやま和也を再び国会に送ってください
 このたびの参議院選挙は、「平和」と「くらし」を2大争点としてたたかわれます。
 ロシアによるウクライナ侵略によって多数の人命が奪われるという異常な事態が続いています。日本共産党はロシアの侵略を許さず、国際世論の力で国連憲章と国際人道法を守らせるとともに、憲法9条の理念に基づく平和外交を展開し、東アジアの国々を包摂した「平和の枠組み」を強化し、戦争を起こさせない世界の構築を進めます。
 他方で岸田政権は、日米同盟の「抑止力」強化として、「反撃能力=敵基地攻撃能力」の検討と憲法9条改悪を要求。5年以内の軍事費2倍化は、ロシアをも超える世界第3位の軍事大国化を目指すもので、社会保障の大削減や消費税の増税抜きには実現不可能です。「軍事対軍事」による軍拡競争を引き起こすと同時に、戦争をさせないという政治の役割を投げ捨てるものです。このたびの選挙は、「戦争する国」づくりを進める改憲と軍拡を絶対に許さず、平和な世界への一歩をふみ出す選挙です。
 コロナ禍と激しい物価上昇に道民のくらしが圧迫されています。そもそも、自公政権による長年の新自由主義によって、大企業・富裕層の利潤のために消費税増税や社会保障切り捨てが強行、くらしも経済も疲弊しています。とりわけ広域分散型社会の北海道は「効率が悪い」として、病院・病床や学校の削減、中小企業の淘汰、農業つぶし、鉄路の廃止が進行。原発再稼働と「核のごみ」最終処分が狙われ、ますます住み続けることが困難にされてきています。このたびの選挙は、道民に苦難を押し付ける政治を止め、いのちとくらしを最優先にした「やさしく強い経済」で希望ある北海道を切り拓く選挙です。
 「平和」と「くらし」の問題の根底には、アメリカいいなり・財界中心による政治のゆがみがあります。自民・公明と維新・国民民主による改憲翼賛体制が伸びれば、国政選挙の空白期間に平和とくらしが大きく破壊されかねません。このたびの選挙は、日本共産党の躍進で自公・翼賛政治に厳しい審判を下し、国民が政治を取り戻す選挙です。市民と野党の共闘をつらぬいてきた日本共産党が躍進することは、共闘による政治変革を推進する決定的な力になります。
 日本共産党北海道委員会は、以下の政策を掲げて、比例代表で日本共産党5議席以上、いわぶち友参議院議員の再選と、北海道選挙区ではたやま和也の当選を目指して、全力を尽くします。

1.いのちを守る「憲法9条をいかした平和外交」を進めます
1-1 「憲法9条をいかした平和外交」で東アジアと世界に平和を拓く
 ロシアの侵略は、国連憲章や国際人道法に反する戦争犯罪です。他方で、バイデン米大統領はロシアを非難はしますが、「国連憲章違反」と言わず、軍事ブロックを楯に「民主主義対専制主義」と対決を強調し、岸田首相もアメリカに追従し「力の論理」で軍拡を訴えています。これでは世界を分断・敵対させることになり、新たな軍事衝突の火種を生みかねません。いま大切なのは、国際世論で侵略を止めて侵略者に責任を取らせ、「国連憲章に基づく平和秩序を回復させる」ことです。
 そうした平和のルールを守る国際社会を構築する外交戦略が「9条をいかす平和外交」です。かつて戦火の絶えなかった東南アジアは、アセアンで年 1000 回もの会議を行い戦争を防ぎ、さらに日米中が参加する東アジアサミットの国々に友好協力条約を広げようと考えています。「世界を敵・味方に分ける軍事同盟(排他的アプローチ)」でなく「各国が話し合いのテーブルにつく方法(包括的アプローチ)」です。日本共産党はこうした取り組みに連携・強化して東アジアと世界とで平和的な国際環境を整備します。
・軍事ブロックによる対立ではなく、国連憲章に基づいた多国間の集団安全保障を強化します。
・平和の地域協力の枠組みを東アジアに拡大し、各国と友好協力条約の締結を目指します。

1-2 9条改憲・敵基地攻撃・軍事費2倍・核共有――「戦争する国」づくりを許さない
 岸田政権は、専守防衛を投げ捨てて先制攻撃を可能にする「反撃能力=敵基地攻撃能力」の保有検討と、憲法9条改悪と自衛隊明記を掲げました。軍事費は5年以内にGDP2%以上=11兆円以上に膨張させ、世界第3位の軍事大国を目指すという、平和主義からかけ離れた方針です。米軍の核兵器を持ち込む「核共有」を求める暴論も取りざたされています。北海道では昨年12月は過去最大規模の日米共同の軍事訓練が行われ、矢臼別演習場の地元4自治体が反対するなかでオスプレイが飛来。防衛大臣が「良好な訓練環境」である北海道を「最大限活用」すると明言し、米軍と一体に「北海道の軍事基地化」を進める動きも深刻化しています。
 日米「抑止力」強化の名のもとに軍拡と改憲を狙う姿勢は、「軍事対軍事」による際限ない軍拡競争を引き起こすと同時に、戦争をさせない責任を放棄するものであり、許されません。道民は憲法9条を「改正すべきでない」が57%に上っています(4月29日付「北海道新聞」世論調査より)。とりわけ北海道は自衛隊基地を多く抱えており、千歳市では自衛隊員の家族から「戦争に巻き込まれたくない」という声が少なからず寄せられています。紛争の平和的解決は政治の義務であり、国民・道民および自衛隊員の命をも危険にさらす「戦争する国」づくりは許されません。
・日本国憲法の全条項を守り、9条の改悪をさせません。
・先制攻撃を容認する「反撃能力=敵基地攻撃能力」は認めません。
・非核三原則を堅持し「核共有」を認めず、「核抑止」路線から脱却し核兵器禁止条約を批准します。
・自衛隊に海外で戦争をさせる安保法制=戦争法を廃止し、集団的自衛権容認を撤回させます。土地利用規制法、秘密保護法、共謀罪法を廃止させます。企業や研究機関を安全保障に組み込む経済安保法、政府・財界の大学への介入を強める国際卓越研究大学法を廃止させます。
・北海道での日米共同訓練はさせません。矢臼別での米軍実弾射撃演習は中止させます。米軍の特権を認める日米地位協定は抜本的に改定させ、沖縄・辺野古の米軍進基地建設は断念させます。

1-3 「北方領土」問題は旧ソ連・ロシアの覇権主義を許さず、「領土不拡大」の原則つらぬき、全千島・歯舞・色丹の返還を目指します
 旧ソ連は第二次世界大戦時に「領土不拡大」の原則を破り、日本の歴史的な領土である「全千島」を不法に占拠しました。しかし自公政権は18年以降、安倍首相(当時)が政府の「4島」返還の立場さえ放棄して「2島」決着に譲歩し、経済協力を進めました。他方でロシアのプーチン大統領は、そうした日本政府を見くびるように千島の実効支配を強化。さらにウクライナ侵略を機に平和条約交渉を拒否し、ビザなし交流や自由訪問も停止、墓参の見通しも立てず、安全操業協定を一方的に停止しました。深刻な事態です。ロシアの覇権主義に屈従する「いいなり外交」は完全に破綻しており、千島の「全面放棄」になりかねません。
 領土問題がまったく進展しない背景には、「四島は千島ではないから返還せよ」という方針が歴史的事実にてらしても、国際法上も、通用しない主張だったことにあります。⻭舞諸島・⾊丹島はそもそも北海道の⼀部であるとともに、全千島が1875年の樺太千島交換条約で平和的に確定した日本の領土であるというのが、国際的な道理です。領土交渉の全面的な転換が不可欠です。
・歯舞諸島・色丹島の即時返還に加え、「領土不拡大」の原則に反したヤルタ協定やサンフランシスコ条約による戦後処理を正し、日本の歴史的な領土である全千島(国後、択捉を含む)返還を正面から訴えます。
・平和条約は、領土問題が最終的に解決にいたった段階で締結します。
・元島民の「残地財産」の権利不履行に対する直接支援や、北対協の融資制度の拡充など、元島民の支援強化を図ります。
・領土問題の啓発事業を促進し、3世・4世以降を含めた返還を求める後継者育成へ支援を強めます。
・領土問題に起因する疲弊した地元経済を国の責任で支援するため、「北方領土隣接地域振興等基金」の拡充をはじめ地元支援を抜本的に強化します。

2.物価高から道民生活を救う「やさしく強い経済」に転換します
 日本共産党は、①消費税を5%緊急減税、②政治の責任で「賃金が上がる国」に、③社会保障と教育の拡充、④気候危機の打開、⑤ジェンダー平等をつらぬく、の5つの経済政策を提起しています。物価高騰から国民の暮らしを支える「やさしい」経済政策であるとともに、国民の可処分所得を増やして購買力を増強させ、日本経済の5割以上を占める家計消費の拡大と経済活性化を呼び起こす「強い」経済政策です。
 さらには北海道の経済回復へ、全国一律の最低賃金1500円は賃金の地域間格差の縮小と道民所得の向上につながります。農林漁業の振興は、輸入に頼る不安定な食料供給から食料の自給に転換させ、農業王国・北海道の経済を根底から立て直します。気候危機打開の取り組みは、エネルギーの自給率を高めるとともに、北海道の豊富な自然エネルギーの活用を地産地消で進めることで、地域循環型の経済を発展につながります。鉄路の維持は、物流と生活を支える基盤になります。アイヌ民族の先住権の回復は、長年の差別を解体させて個人と民族の尊厳が守られる新しい北海道を切り拓きます。冬季五輪招致や大型開発偏重の政治を改めます。
 一握りの大企業・富裕層の利潤確保が優先される「冷たくもろい経済」ではなく、道民の暮らしと経済を優先する「やさしく強い経済」を進めます。

2-1 消費税を5%に緊急減税し、インボイスを中止させます
 ウクライナ危機と共に、アベノミクスによる金融緩和政策が異常な円安を引き起こし、食料品や生活必需品が激しく値上がりして道民生活を圧迫しています。とりわけエネルギーでは、灯油、電気、ガスの価格が2~3割上昇、「生活が苦しい」との悲鳴が上がっています。
 ところが岸田政権は、「アベノミクス」を言葉を変えただけで「堅持」するとし、補正予算でも原油高対策以外の対策はない無為無策を続け、道内では札幌市が福祉灯油を実施しないなど、政治と道民生活との間の矛盾がますます深まっています。現在の物価高が平均して消費税3~5%の上昇に相当することから、消費税の5%減税はもっとも有効な緊急対策です。
 同時に、北海道は中小企業の割合が99.8%と全国平均より高く道内経済の根幹ですが、その3割が過剰債務のなかコロナ対策の融資でつないでいます。物価高騰が直撃するなか消費税は重い負担になっており、5%への減税は道内企業への大きな支援にもなります。さらに、来年10月に向けてインボイス制度の登録申請が始められましたが、個人事業主やフリーランスなどに取引からの締め出しか納税かの選択を迫る、「死活問題」となる制度であり、中止すべきです。大企業と富裕層に応分の税負担を求める税制に大きく転換します。
・消費税5%減税とインボイス制度の導入中止を実施します。
・事業復活支援金を持続化給付金なみに拡充・再支給し、家賃支援給付金を復活します。中小企業予算を1兆円規模に増額します。
・大企業優遇税制を廃止し、大企業の法人税率を28%に戻します。富裕層優遇の株取引への税率は欧米並みに引き上げ、分離課税とせず総合累進課税にします。所得税の最高税率を65%に戻します。

2-2 大企業の内部留保に課税し「賃金が上がる国」にします。中小企業を支えて地域経済を立て直します
 物価高騰から暮らしと経済を救う、もう一つの決定打が「賃上げ」です。日本では、アベノミクスの9年間で国民の賃金がまったく上がっていません。実質賃金は22万円減少し、平均賃金は韓国よりも低くOECD各国で最低水準です。他方で大富豪の資産が4兆円から24兆円へと膨らみ、円安によりトヨタ自動車が過去最高の約3兆円の営業利益を記録、大企業の内部留保は130兆円積み増しされて466兆円になるなど、ますます格差が拡大しています。
 とりわけ北海道の平均賃金は27.3万円と、東京都37.4万円、全国平均30.8万円を大きく下回っています。最低賃金が全国加重平均930円を下回る889円で、フルタイムで働いてもワーキングプアの基準年収200万円に届きません。全労連の最低生計費調査では、ごく当たり前の生活に必要な賃金はどの地域であれ時給1500円前後と試算されています。イギリス、ドイツ、フランスなどで最低賃金1500円以上が実現するなか、異常な低賃金にくらしが犠牲になっています。北海道は非正規の割合が4割超と全国ワースト5位の水準で、その多くが最低賃金近辺での労働を強いられています。
 岸田政権は、最低賃金を「早期に全国加重平均1000円」というあまりに低い目標です。「全国一律1500円」による最低賃金の抜本向上と、「非正規の正規化」で雇用を安定させ所得を増やすことは、道民の暮らしを救い、地域間の経済格差をなくして首都圏への人口流出を防ぐ決定的な力になります。
 賃上げの前提として不可欠なのは中小企業への支援です。社会保険料の事業者負担が重荷になっています。フランスでは賃上げ企業に社会保険料の軽減を行う制度を導入しています。政治の責任で実施すべきです。
財源として、人件費抑制で膨張した大企業の内部留保増加分に課税する制度を導入し、賃上げに活用します。
・社会保険料減免などで中小企業を支援し、北海道で889円の最低賃金を全国一律1500円にします。
・非正規から正社員の流れを作るため、派遣は一時的なものに限定し、パートの解雇・雇止めを規制します。長時間労働をなくすため、残業時間の上限を過労死ラインの「月100時間未満」から「週15時間、月45時間、年360時間」に抜本強化します。
・2012年以降増加した130兆円分の内部留保に年2%の時限的課税を5年間実施し、中小企業支援の財源にします。内部留保課税は賃上げ額を控除することで大企業の賃上げも促進します。気候危機打開に逆行するもの以外の設備投資も控除し、グリーン投資を促進します。

2-3 医療・福祉・教育を大切にする「ケアに手厚い政治」に転換します
 コロナ危機によって、北海道では感染者が沖縄・東京圏・大阪圏に次いで多く、死者は大阪、兵庫に次いで3番目に多い(いずれも人口比)深刻な事態に至っています。専門家(奈良県立医大の研究チーム)は保健師数と感染者の少なさに相関関係があることを指摘しており、保健所体制の抜本強化が必要です。
 同時に、コロナ禍で地域医療の重要性を訴える世論が大きくなり、国は病院の統廃合にむけた「公立病院経営強化ガイドライン」を見直しましたが、全国436・道内54病院を対象とした統廃合リストは撤回されていず、医師数の抑制や、地域医療構想で病床を約1万床減らす方針も変わっていません。北海道は、可住地面積100km2あたりの病院数が2.6と全国最低水準で、分娩可能な自治体は29しかありません。これ以上医療が弱められれば地域に住めなくなります。75歳以上の医療費窓口負担は今年10月から値上げが強⾏され、道内15.3万人の窓口負担が2倍に跳ね上がります。国保料は、札幌市では給与所得者の収入の1割以上を占め、負
担割合が他保険の約2倍にも上ります。年金の支給は16年の「年金カット法」が昨年反映され、コロナ禍にもかかわらず2年連続で減額、今後約30年で3割削減される⽅針です。
 社会保障の削減は、道⺠の命を切り捨てる冷酷な政策であるうえ、国民の可処分所得をそぎ落として消費能力を奪い、経済を停滞させる愚策です。コンビニ関係者が「売り上げが伸びるのは生活保護や年金の支給日」と述べるなど、社会保障がいのち・暮らし・経済の底を支えています。抜本的な拡充が必要です。
 学生もバイトを失い生活や健康が損なわれる人が増えています。日本は先進国最下位の高等教育予算のもと、学費は国公立大学でも4年で243万円に上るなか、昨年全国で約3万人が中退し、うち15%がコロナ禍を理由に学園を去りました。道内各地でのフードバンクに学生が殺到し、経済的苦境から「一日一食が当たり前」との声も上がっています。学生を支えることが急務です。
合計特殊出生率が、北海道で1.20(全国ワースト3位)です。とりわけ札幌市は1.09(政令市ワースト1位)で、「子どもがほしくない」理由は「経済的に厳しい」がトップです(市の意識調査より)。政治の責任で、お金の心配のない子育てを保障すべきです。また、コロナ禍によって子どもたちの生活・教育環境が悪化しています。精神的な不安定や学力の格差が表面化しています。子どもたちを守るために、30人以下の少人数できめ細かな教育が必要です。子どもの尊厳を守り権利を保障する立場で教育環境を改善します。
・ワクチン接種と同時に、大規模検査を進めます。感染の疑いのある人を含め「いつでも・誰でも・無料で」PCR検査を行う体制を整備します。医療・介護の現場での頻回検査を国の責任で保障します。
・コロナ感染症での受診や入院など、必要な医療を早期に十分受けられる体制を整備します。後遺症への対応を強化します。
・コロナ感染症を診察しない医療機関も含め、財政支援のための減収補填と、医療者の待遇改善を行います。
・1992年から半減された保健所予算を2倍化するなど保健所数と職員体制を抜本的に強化し、定員増と正規職員化を進めます。
・公立・公的病院の削減統廃合リストを撤回させ、地域の医師・看護師増と医療機関の拡充をします。
・診療報酬の抜本引き上げを行います。
・75歳以上の医療費窓口負担2割への引き上げを中止させます。後期高齢者医療制度を廃止を求めます。
・国保料は公費1兆円を投入して均等割・平等割を廃止、協会けんぽ並みに抜本引き下げます。コロナ禍をふまえて低所得者への恒常的な減免制度を確立します。
・年金のマクロ経済スライドを撤廃し「減らない年金」に切り替えます。最低保障年金創設を目指します。
・加齢性難聴の高齢者に、補聴器購入への国の補助制度を創設します。障害者福祉・医療を無料にします。
・介護・福祉・保育職員の賃金や配置基準などの待遇改善をします。介護保険への国庫負担を引き上げ、介護保険料・利用料の減免と介護施設の増設をします。
・国民の権利である生活保護を「生活保障制度」に改め、利用率・保護費を引き上げます。生活福祉資金「特例貸付」は拡充し、給付へ切り替えます。フードバンクや子ども食堂を公的に支援します。
・大学・短大・専門学校の学費をすみやかに半額にし、高等教育の無償化を目指します。入学金をなくします。給付奨学金を奨学金利用者の約半数(学生総数の約1/4)に拡大し、有利子奨学金は無利子化します。
・子ども医療費の無料化、学校給食の無償化を進めます。児童手当を中卒までから18歳までに引き上げ、子育て世帯への恒久的支援を拡充します。
・保育士の処遇改善を抜本的に強化し、保育水準を確保しながら待機児童を解消します。
・1学級20人前後を目指して少人数学級をさら拡大し、学校統廃合や大規模な義務教育学校化を押し付けずに小規模な学校を維持します。教員の長時間労働の解消と定員増を進めます。
・子どもの権利条約に基づき子どもの権利の擁護を位置づけ、いじめや体罰などに厳しく対応します。子どもの尊厳と人権を守る観点で校則の抜本的な見直しを進めます。不登校の子どもを支援します。

2-4「食」まもる農林漁業を支え、今こそ自給率向上へ踏み出します
 ウクライナ危機やアベノミクスの破綻で輸入食料品が高騰するなか、食料を自国でまかなう政策転換が急務です。長年の自公政権によって食料自給率は37%にまで下落。しかし政府は輸入自由化路線を変えずに、米国などからのミニマムアクセス米77万トン(北海道の生産量の約1.5倍)の輸入を止めようとしません。
 コロナ禍でコメが余剰して価格が暴落し、コメ農家が危機にあるなか、政府は国策によってコメからの転作を促してきた「水田活用交付金」の削減を突然表明しました。道内の転作率は55%にも上り、農家から「はしごを外された」「やっていけない、耕作放棄地になる」と怒りの声が上がっています。さらにテンサイの生産枠を2割削る方針も公表。テンサイを組み込んだ畑作の輪作体制が壊されます。いずれも撤回すべきです。
輸入資材や燃油の値上がりは、すべての農家を苦しめています。ほぼ全量を輸入に頼る肥料は2倍近く値上がりするものもあり、肥料費が4割以上を占める酪農家などへの対策は急務です。
 「農業壊し」が地域衰退の要因になっています。この20年間に道内農家人口は26.1万人から12.8万人へ半減し、北海道の人口流出に直結しています。いのちを守る農業をないがしろにする国に未来はありません。
 漁業では、そもそもの水産予算が少なすぎるなか、太平洋岸の赤潮発生が史上最悪の規模で広がり、ウニが壊滅、サケマスやコンブなども含め、被害は82億円を超えています(2月28日時点)。数年にわたる影響が懸念され、抜本支援が必要です。燃油高騰の影響も甚大です。
 外国や多国籍企業の利益のために日本の食料主権を譲り渡す種子法廃止や種苗法の改悪、拙速なゲノム編集食品の解禁は、「食の安全」の観点からも許されません。
 林業でもウッドショックやウクライナ危機により外材依存の問題が表面化しています。道産材の安定供給が必要です。
・食料自給率を早期に50%まで引き上げる目標を掲げます。TPPやRCEPなどの食料輸入の自由化政策を抜本的に転換します。ミニマムアクセス米は輸入義務がなく、止めさせます。
・農林漁業の「価格保障」「所得補償」「担い手育成」の3つを柱に、安心できる持続可能な農林漁業の土台を作ります。道内農業・漁業の9割以上を占める家族・個人経営を支えて農漁村を再生します。
・転作農家を切り捨てる「水田活用交付金」の削減方針は撤回します。米価の暴落対策として、過剰米を国の責任で買い上げます。
・テンサイ(ビート)の生産枠2割削減の方針は撤回させます。
・肥料、飼料、燃油の高騰にたいする農家への直接支援を行います。配合飼料価格安定制度の財源を確保し、補填金を引き上げます。
・種子法廃止や、種苗の自家増殖の権利を奪う種苗法改悪は元に戻します。ゲノム編集食品の流通は認めません。ネオニコチノイドやグリホサートをはじめ毒性の強い農薬の使用を禁止し、残留基準を強化します。
・赤潮被害は、大量死の実態と影響、原因究明を早急に進めます。漁業者に寄り添い減収支援と再生産に向けた支援を行います。水産資源を守り増やすための支援を行います。
・漁業権の地元漁民優先原則を廃止した漁業法を見直します。資源管理では漁獲割り当てを押しつけず、漁業者・漁協の主体的な取り組みを支援します。
・ロシアとの国境海域での安全操業に全力を尽くすとともに、操業できない漁業者を支援します。
・自伐型林業など持続可能な林業の支援と担い手の育成、道産木材の公共施設や住宅への活用を支援します。

2-5 地産地消の自然エネルギー拡充で自給率を向上します。原発再稼働と「核ごみ」処分場は認めません
 ウクライナ危機によりエネルギーが高騰していますが、日本のエネルギー自給率は約10%のみ。不安定な輸入に頼っていては生活が守られず、100%国産の自然エネルギーの拡充が喫緊の課題です。自然や住環境を破壊する巨大開発は規制したうえで活用を進めます。暖房では、下川町が地元産材で町内ボイラーを整備しているように、CO2排出が実質ゼロとなる木質バイオマスの暖房への活用を推進し、地域経済を循環させます。
 しかし、政府は「原発の最大限活用」に固執しています。泊原発の耐震基準は⼀般住宅にも及ばず、今年6月には札幌地裁が津波対策の不備を断じて運転差し止めを命じました。ウクライナ危機では原発が攻撃され、その危険性に世界が怯えています。ところが岸田首相は「再稼働の⽅針に変わりはない」と発言。発電コストも太陽光より高く、泊原発には停止中の11年で8000億円・年間700億円に及ぶ維持管理・安全対策費が投入されており、道⺠世論は一貫して反対多数です。あらゆる面で「失格」の原発は即刻廃炉にすべきです。
 「核のごみ」最終処分場の調査も大問題です。寿都町、神恵内村はどちらも活断層や脆弱な地盤が広がっています。そもそも地震大国・日本には地層処分に適地はないと専門家が指摘、日本学術会議は地上などで厳重に管理する「暫定保管」を提言していますが、政府は「地層処分ありき」に固執して、巨額の交付金をエサに処分地決定を狙っています。道「核抜き条例」が無視され、地元住⺠の合意が欠落していることも大問題です。
 気候危機は、北海道でも深刻です。16年には史上初めて4つの台風が北海道に上陸し93河川が氾濫。21年には「100年に⼀度」の渇水で干ばつが起こり、昨秋の赤潮の原因にも海水温上昇が指摘されています。国の目標42%は低すぎるうえ、CO2排出の元凶であり国際的に排除されつつある石炭火力にしがみついています。
・再生可能エネルギーは、巨大企業への利益誘導による開発ではなく地元企業と住民主体で地域経済に利益が循環する仕組みで進めます。石狩湾岸などでの自然や住環境を破壊する乱開発は厳しく規制し、情報公開と住民の参加と合意を基本にします。
・再生可能エネルギーの優先利用原則を確立します。原発の優先利用はさせません。道東を中心とした畜産系バイオマス発電の送電線接続を進めます。
・暖房は、戸建住宅で消費するエネルギーの2/3を占めており、地場産の木質ペレットなどCO2排出実質ゼロとなる燃料の拡大を目指します。
・2030年までに、省エネで電力消費を20~30%削減します。自治体のゼロエミッションを進めます。
・国内の全原発の廃止を決断し、泊原発をすみやかに廃炉にします。大間原発は建設を中止します。
・寿都町、神恵内村の「核のごみ」調査は概要調査に進まず終了させます。「処分法」を抜本改定し、専門家や国民の広範な議論をもとに地上等での管理などを含めた可能性を検討します。幌延の深地層研究センターは研究を終了して閉鎖します。破綻した核燃料サイクルから撤退します。
・2030年までのCO2の削減目標を、国際水準に見合う50~60%に引き上げます。
・2030年までに、道内電力の半分を担う苫東厚真をはじめとした石炭火力を全廃します。釧路火力も石炭と輸入ヤシ殻などとの混焼であり廃止を進めます。

2-6 ジェンダー平等をあらゆる政策につらぬき、男女の賃金格差をなくします
 ジェンダーギャップ120位の日本において、とりわけ北海道は「都道府県別ジェンダーギャップ指数」で「行政」「経済」「教育」が全国ワースト1位(「地域からジェンダー平等委員会」2022年調査)とされるなど、多くの女性が格差に苦しめられています。
 日本における男女の生涯の賃金格差は1億円にも上りますが、なかでも北海道は「週60時間以上はたらく男性の割合」と「女性の有業率が低さ」が全国最高水準で、女性に多大な家族的責任が負わされています。管理職に占める女性の割合が低く、賃金格差を助長しています。コロナ禍では女性就業者が激減、女性を「安価な労働力」「雇用の調整弁」とみなす財界奉仕の政治を根本から転換すべきです。
 性暴力の根絶と、リプロダクティブ・ヘルス&ライツの保障も急務です。コロナ禍で、20年度のDV相談件数が1.6倍となり、その潜在化も懸念されています。若年層を中心に女性の自殺者も急増。痴漢被害は、日本共産党北海道委員会の調査で被害の78%が18歳以下、35%が12歳以下という深刻な実態が示されました。後の人生に甚大な影響を及ぼす性暴力であり、対策と被害者支援が急務です。
 選択的夫婦別姓については、昨年4月の道新世論調査で68%が導入に賛成。夫婦同姓を法的に強制するのは世界で日本だけであり、国連から是正勧告を受けています。同性婚は、今年4月の道新世論調査で容認が75%、昨年3月には札幌地裁が同性婚を認めないのは憲法14条違反と断じました。17年に札幌市でパートナーシップ宣誓制度が始まり、今年には江別、函館、北見で導入されましたが、扶養や相続などで配偶者と同様の権利が認められず、制度のない自治体では通用しない課題も残っています。国が婚姻として認めるべきです。
・男女の賃金格差の実態調査と是正計画の策定を企業に義務付けます。女性が多い非正規雇用を正社員にする流れをつくります。女性が多いケア労働の賃金を引き上げます。
・長時間労働をなくし、育児介護休業の取得を昇給昇格において不利に評価すること等を禁止します。男女を問わず家族的責任を担う労働ルールをつくります。
・意思決定の場に女性を増やす実効性ある施策やパリテ(男女議員同数化)の取り組みを進めます。
・性暴力の暴行脅迫要件を撤廃して同意要件を新設します。性交同意年齢を引き上げます。
・痴漢被害実態を調査します。性暴力被害センターや相談窓口の拡充、支援団体の抜本的な財政支援、被害者支援と加害者更生を強めます。
・国際水準の包括的性教育を公教育に導入します。
・選択的夫婦別姓をただちに導入します。
・同性婚を認める民法改正を行います。
・LGBT平等法を制定し、いかなるSOGIでも権利が保障される社会を目指します。

2-7 国の責任で鉄路を守ります。新幹線札幌延伸工事は中断します。知床観光船事故は国の安全軽視の姿勢を見直します。
 鉄道の切り捨てが大問題です。JR北海道は16年以降、鉄路を次々と廃止し、駅の廃止、減便、運賃値上げなども強⾏されています。今年1月に根室本線(富良野−新得)、3月に函館本線の「⼭線」の廃止が相次いで強要され、留萌本線の廃止も狙われています。鉄道は生活を支える「足」であり、観光や物流など地域経済にも欠かせません。CO2削減としても世界で見直されています。ところが政府は、道路予算の1/20以下しか鉄道に充てず、JR北海道の「命綱」として設けられた「経営安定基金」の運用益が目減りしているのに、抜本支援に背を向けてきました。イギリスは鉄道の「再国有化」を決定。日本も国の責任で路線を守り、住⺠の移動権保障と地域経済の維持に踏み出すべきです。他⽅で国は、1兆6700億円をかける北海道新幹線の延伸を強⾏しています。新幹線は道内最大の赤字路線で、赤字額はJR北海道の経常赤字に匹敵するうえ、延伸しても需要増の見通しがありません。何より、路線の8割を占めるトンネルから出る大量の有害掘削土はヒ素や鉛などを多量に含んでいるのに、飲料水の汚染や土砂災害などの危険から反対する住⺠の声を無視し、道内各地で処分が強⾏されています。財政、経営、安全、住民合意などの面で重大な問題があります。
 今年4月に発生した知床観光船の沈没事故で、多くの方が犠牲になっています。国は99年の海上運送法改定で運賃を認可制から届け出制にするなど、新自由主義により業者参入を促すために規制を緩和してきました。国の監査もずさん極まるもので、安全を軽視して民間任せにし、企業の利益を優先したと言わざるを得ず、根本的に転換すべきです。
・国が責任をもって、公共交通基金の創設などで全国の鉄道網を維持し、JR北海道の「廃線ありき」の方針を抜本的に転換させます。
・北海道新幹線はいったん工事を中断し、住民合意のない有害掘削土の処分は中止します。延伸そのものも道民議論のもとで凍結・中止を検討します。
・知床観光船の事故では、「もうけ優先」で国が行った規制緩和を見直し、検査体制の強化など、「人命最優先」の視点で総点検をします。

2-8 アイヌ民族の先住権の回復を目指し、同化政策に対する公式の謝罪を行います
 ⺠族共生象徴空間「ウポポイ」が開業しましたが、アイヌ⺠族への差別が止みません。根底には、国と道とが明治以降、土地の没収、資源の収奪や強制移住を強いるとともに、強力に推進した同化政策でアイヌ文化や言語を「野蛮なもの」として否定し、今もって国の根本的な反省と謝罪がない姿勢があります。なかでも、アイヌ⺠族の墓地から2000体以上もの遺骨を持ち去り、まるで動物の標本のように研究に供した「遺骨問題」は、アイヌの尊厳を踏みにじるきわめて非人道的な事件ですが、遺骨の返還はごく⼀部にとどまっています。
 07年に国連で「先住⺠族権利に関する国連宣言」が採択され、自決権、土地にかんする権利、サケ漁獲権など、広範な「先住権」が明記されました。ところが19年に施⾏された「アイヌ施策推進法」からは先住権が欠落しており、国際水準からは程遠い内容です。「推進法」はアイヌ⺠族にかんする自治体の事業に交付金が出ますが、計画にアイヌ民族の意思が尊重されていないという声が多く上がっています(アイヌ政策検討市民会議の22年3月調査より)。同時に、アイヌ⺠族は同化政策により生活基盤を根底から破壊され、生活苦が今の世代にまで連鎖しています。国の責任で、奪われた人権の回復や生活・教育・労働の向上をすべきです。
・国と道が歴史的不正義に正面から向き合い、公式に反省・謝罪を行います。差別をなくす法的実効性を強化します。学校教育は不当な同化政策を学ぶ内容を拡充し「ウポポイ」の展示も見直します。
・アイヌ民族の遺骨は、国と研究機関が調査と再埋葬への支援に責任を負い、地域のアイヌ民族とのていねいな話し合いで謝罪と返還を進めます。
・アイヌ民族の自決権を支える「検討委員会」(仮称)を、アイヌ民族主体で設置します。一方的に奪われた土地や資源についての調査や解決方法の検討に着手します。
・河川でのサケ漁獲権の否定を改め、まずは「許可制」から「届出制」に転換します。
・エカシ、フチに対する「敬老手当」を国と道の責任でつくります。「給付奨学金」「就業支援」で生活困窮からの改善を進めます。
・アイヌ語を学ぶ権利や文化伝承の権利を確立します。
・2年後に迫ったアイヌ施策推進法の見直しをするため、開かれた検討をただちにはじめ、国際標準の先住権を確立させる内容への抜本的な改定を目指します。

2-9 2030年札幌冬季五輪招致は取りやめ、除排雪をはじめ暮らしを豊かにするまちづくりに転換します
 札幌市が2030年の冬季五輪招致を目指していますが、住民合意が欠落しているうえ、財政負担への懸念があり、巨大開発の口実に利用しているという点でも、招致には賛成できません。
3月に札幌市が実施した「意向調査」は、賛成への誘導とも言える手法だったにもかかわらず賛成は52%にとどまり、4月の道新世論調査では反対が57%と逆転しています。過去の開催地に比べ極めて賛成が低いうえ、市は市民が求める住民投票を拒否し、プロモーション委員会を設置して東京大会の担当大臣や組織委員長らを顧問にすえるなど国と一体に推進、住民の不安や疑問を聞く姿勢に欠けています。
市民の疑問の背景には、財政負担への懸念と、「他にもっと大事な施策があると思う」(同世論調査)という要求があるからです。1960年以降すべての大会で大幅に予算を超過し、東京五輪でも予算の2倍、関連費用を含めればさらにその2倍の3兆円に膨張しました。札幌への招致で市は施設整備費を800億円(うち市負担459億円)としていますが、巨額の市債発行が前提です。また「原則税金は投入しない」としている大会運営費にも、長野冬季五輪や東京五輪では多額の税金が投入されており、担保がありません。市民負担や市民の福祉予算へ重大なしわ寄せが懸念されます。
 さらには冬季五輪に合わせて、1200億円をかけて市中心部地下を貫通させる都心アクセス道路に、新幹線の札幌延伸、大規模な都心再開発など、五輪を利用した巨大開発が目白押しです。いずれも多額の国費が投入されます。コロナ禍で強行された東京五輪の検証もされていません。
・2030年の札幌冬季五輪招致の計画を取りやめます。
・巨大開発や大型イベント偏重の政治から、昨冬の甚大な雪害対策や住民福祉の増進など、市民の暮らしを豊かにする政治に転換します。

自由と平和、まっすぐつらぬく 日本共産党の躍進を
  日本共産党は、戦前から命がけで侵略戦争に反対してきました。弾圧と拷問によって、『蟹工船』で有名な北海道の小林多喜二(作家)や野呂栄太郎(学者)のほか、伊藤千代子をはじめとした女性ら若い党員が命を奪われました。戦後も、自由と平和を求める立場をつらぬいて民主主義のために力を尽くし、未来に向けて発展させることを綱領に明記しています。
 「平和」と「くらし」で日本の進路が問われる参議院選挙です。平和な未来と希望あるくらしを拓くために、北海道から日本共産党を躍進させてください。

以上

(2022年6月29日 一部修正)