北海道新幹線札幌延伸のトンネル工事に伴う重金属を含む有害残土(要対策土)が生活環境に与える影響を考えるシンポジウムが8日、札幌市手稲区で開かれました。

 日本共産党札幌西・手稲地区委員会が主催しました。専門家は、市が決めた3カ所の受け入れ候補地が、土石流や液状化の危険性からいずれも適地でないとの見解を示しました。

 劇毒物に詳しい北海道大学客員教授の土方健二氏と土木の専門家が説明しました。

 「ヒ素が地上に掘り出され、猛毒の亜ヒ酸に変わる」と土方氏。亜ヒ酸の致死量は小魚が0.01ミリグラムで、その1万分の1が微生物の致死量であり、「人体、食物連鎖、農作物生産に害を及ぼす」と強調しました。

 土木の専門家は、工事主体の鉄道・運輸機構が用いている土壌汚染対策法に基づくマニュアルは「自然災害を想定していない」と指摘。3受け入れ候補地のうち、金山地区(手稲区)は標高130メートル地点に50メートルもの「高盛土」で盛土崩壊と土石流の危険がある、山口(同)、山本(厚別区)両地区は、市が地盤液状化マップで「発生の可能性が高い」としており、「固化などの地盤改良が必要」と警鐘を鳴らしました。

 市が山口地区について、わずか2町内会だけの「住民説明会」で事前調査を押し通そうとしていることに、星置地区など多くの周辺住民が反発。機構と市共催の「オープンハウス」(展示説明7~9日)に対し、「住民説明会を開かない前例になる」と強い批判が広がっています。

 畠山和也前衆院議員は、正体不明の「条件不適土」が発覚した北斗市と札幌市の共通点として、「住民説明が不十分なまま工事を進めようとしている」と告発。「住民理解がないなかでの調査実施は困難」とした国土交通相答弁(2020年5月)を厳格に実施させようと提起しました。

 「3地区の受け入れ反対署名は2万人を超える」と佐々木明美市議。全市の連帯した運動を呼びかけました。

(「しんぶん赤旗」11月11日付より)