札幌パルコ前にて12人の札幌市議・予定候補がそろって宣伝
(23年1月5日)

 秋元克広札幌市長が1月31日に提出した23年度予算案は、冬季五輪招致や都心アクセス道路計画、市内中心部の再開発など不要不急の事業継続が優先され、残りを除雪やくらし・福祉・子育てで振り分けるといった市民の願いを反映しない、市長の政治姿勢を映し出した予算案です。

 市長選を前にした骨格予算ですが、選挙後の政策財源は30億円にすぎない。一般会計総額は1兆1922億円(前年比2・6%増)と過去最高となりました。

五輪招致はあくまで継続

 冬季オリンピック・パラリンピック招致費9380万円は「積極的な機運醸成活動は当面休止」のもと前年比60%減となったものの、招致業務の職員数は22年度と同じ42名が維持。市長会見で記者から職員経費も招致費に含めるべきと質問されましたが、市長は否定し招致活動は継続する意向です。市民の招致反対67%(道新12月世論調査)の意向に耳を傾け、取りやめの決断をするべきです。

不要不急の事業目白押し

 本予算と同規模となっているのは「基本的には継続的な事業を中心に予算編成」(市長会見)したからです。

 特徴的な算出の伸びは、感染症予防費+78・7億円、駒岡清掃工場更新費+140億円、都心まちづくり推進費+70・9億円、学校給食費+83・1億円、道路除雪費+47・9億円など。駒岡清掃工場や中央区役所の更新・建設など必要な事業も。しかし、都心まちづくり推進費の大部分を占める、札幌駅交流拠点まちづくり推進費77・8億円は、都心アクセス道路と直結する「北5西1・西2」再開発費。30年の北海道新幹線札幌延伸に間に合わせるためと、土地所有者でもある札幌市が、土地開発基金で取得した土地(基金地)から土地を買い戻すための予算で、巨額ビル(建設費2500億円)の必要性も議論されていません。

〇市民要求盛り込まれず

 政令市の中で最も遅れた子ども医療費助成。旭川・釧路中卒まで、函館高卒まで拡充するのに、本市は中学生までの対象拡大(9億円)が見送り。学校給食費無償化もまったく手付かずです。

 パートナーシップ排雪の地域負担ゼロ(10億円)なども盛り込まれませんでした。後者については、人件費や燃料費等の上昇分を地域負担分に転嫁しない対策をします。道内主要都市の例を見ても生活道路の除排雪に市民負担を導入している例はなく、五輪を取りやめ除雪対策への声をさらに上げていく必要があります。

〇市民のための予算編成を

 除排雪費は、大雪時の運搬排雪の前倒しと強化等を進める増額がされ、市長は「排雪作業をするという前提の組み方をスタンダードにしていく」と説明しました。

 道路に雪を残さない早めの排雪作業こそ、雪害を招かず除雪事業費の仕事確保・経営安定につながると論戦したことの党市議団の先見性が裏付けられました。

 また、私有地にたつ街路灯の維持管理費で町内会負担軽減を求めてきましたが、街路灯撤去費用に助成金が新設されるなど前進面もあります。

 市長提出の予算案に反対したことがない、自民、民主、公明が支える秋元市政では、五輪や巨額開発がノーチェックで成立してきました。

 市政変革の最大となる日本共産党12人全員の当選で、市民のための予算に切り替えるよう全力を尽くします。

 千田悟 日本共産党札幌市議団事務局長

(「ほっかい新報」2月19日付より)