「都道府県魅力度ランキング2022」で14年連続・1位となった北海道。豊かな自然や「食」の魅力などがあげられます。観光客から魅力に映る北海道も、自公政権による”地方こわし”のもとで、命を守る医療や公衆衛生の体制縮小、物流と移動の要である鉄路の廃線、命を育む農業、酪農・畜産に対する冷酷な仕打ち、などによって「困難」が拡大しています。

北海道で生きるために大切なこと

 こうした北海道に生きる私たちが抱えている課題―教育、ジェンダー、平和、産業など―について、学ぶことができるのが本書・『北海道で考える<平和>』です。

 室蘭工業大学の教授である松本ますみ氏と清末愛砂氏が編者となって、2021年に出版された本書は『北海道で生きるということ――過去・現在・未来』(2016年・法律文化社)の続編です。「第Ⅰ部 現在をとりまく諸問題」「第Ⅱ部 歴史からの視点」「第Ⅲ部 将来へのまなざし」の3部・全14章から編まれている本書では、多角的な視点から北海道の過去・現在・未来について語られています。

 本書は北海道の今の課題を指摘するとともに、歴史的な問題も鋭く問いかけています。「開拓」の名の下に、先住民族であるアイヌ民族の土地を奪い、誇りを傷つけ、生活を破壊した「罪」です。松本教授は、『北海道を、日本をより人権の守られる地域/国にしたいと思えば、先住民の権利が剥奪された状態を是正していく必要がある」と述べるとともに、現実の諸課題を解決するためには「過去の過ちやよきことを含めて総括し、善後策を練っていくことしかない。北海道にはまだまだ希望は残されているはず」と提起しています。

 北海道で生きる私たちが、これからも生きていくために、大切なことを学ぶことができるのが本書の魅力です。

 松本ますみ 清末愛砂 編 法律文化社 本体2200円+税