『十勝子ども白書2021』は新型コロナウィルスが北海道でも猛威を振るい、住民の不安と不自由な生活が2年目に差し掛かるなかで、子どもに関わる多士済々から寄稿され編集されました。『十勝子ども白書2021』のテーマは「コロナ禍の中の子どもの状況と子ども支援」であり、子どもを巡る課題を「子どもの権利」の視点から考えることを目的に書かれています。また、未曽有の災害の下で子ども達が学び、成長する姿の記録としても大切な一冊となっています。

 詳しく本に目を通すと、子どもの権利条約における4つの権利に分類され書かれていることがとても印象的です。それぞれの権利について、団体職員、助産師、教員、議員、自治体職員など様々な立場からの意見や取り組みで十勝の子ども達が立体的に見えてきます。

子どもの個性を照らす教育こそ

 昨今、道徳の教科化に代表されるように子どもの個性を認めず、画一的に育てようと中央政府からの圧力が強まり続けています。そのような中で、「十勝の子ども達」にどのような教育を行い、どのように育って欲しいのかを模索し、一冊の本として出したことそのものに価値があるのではないでしょうか。

 すべてが規格化され画一的になる中で、十勝の子ども達に限定し、そこの子ども達や子どもに関わる仕事に就く人々に、しかもコロナ禍での模索にも焦点を当てている本書はとても貴重で大切な一冊です。ぜひ手に取って頂ければと思います。

(舘野亜実)

〇編集=十勝まちづくり研究会

 

――「ほっかい新報」6月5日付より――