北海道労働者学習協会と日本共産党北海道委員会は『新版・資本論』の刊行を記念し、4回目となる学習会を8日開催しました。大門実紀史前参議院議員が「大軍拡・戦争の道にストップをかけ、くらしと日本経済を立て直そう――いまこそ、『やさしく強い経済へ』と題して、講演しました。

岸田政権の大軍拡がもたらすものは?

 大門氏は、岸田首相による大軍拡の背景にあるのは①アメリカの対中国戦略と米製兵器の購入への圧力②日本の財界・軍需産業の要望であることを暴露しました。

 2倍化ありきの軍事拡大のために、敵基地攻撃能力のミサイル爆買いや、オスプレイやF35戦闘機といった事故多発の機体を「在庫一掃セール」のように購入させられているとし、「アメリカ言いなりの極みです」と厳しく批判しました。

 また、軍需産業による自民党のパーティー券の購入、軍需産業への「天下り」など政官財の癒着構造と、歴史的にも軍需産業が戦争を後押ししてきたことを指摘し、「今、ストップをかけないといけない」と警鐘を鳴らしました。

 大門氏は大軍拡が進めば「社会保障の削減と消費税増税に間違いなくつながる」と指摘。そして、軍事対軍事ではなく、中国もロシアも対話のテーブルに巻き込んでいくように、東アジアで平和の流れを強めるしかないと語りました。

社会保障やジェンダー平等こそ経済成長を促す

 今、市民を苦しめている物価高騰の原因について、大門氏は①世界的な要因――ロシアのウクライナ侵略を契機としたエネルギーや食糧の供給体制の崩壊②国内の要因―アベノミクスによる「異次元の金融緩和」の2点を挙げました。

 他党や経済学者などが金融の規制緩和が景気回復に必要と主張していた時から、日本共産党は賃金の引き上げこそ景気回復の道だと訴えてきたことを大門氏は紹介し、今ではどの党派も賃上げの必要性を認めるようになったと語りました。

 くらしと経済をよくするために大門氏は、新自由主義を転換しやさしく強い経済へ5本の柱―①賃上げ②社会保障の拡充③応能負担の税制、消費税減税④機構危機打開⑤ジェンダー平等――を提案しました。

 「社会保障は経済です」とスウェーデンを訪問した際に指摘されたことを紹介し、社会保障の拡充は消費を大きくし、雇用をつくり、設置投資を呼び込むなど大きな経済効果があるので、「社会保障をよくすることが経済をよくすることだとわかった」と強調しました。また、「経済のためにジェンダー平等を進めるわけではないが、ジェンダー平等を進めることが経済成長にもつながります」と述べました。

(「ほっかい新報」7月16日付より)