質問する真下道議

 アイヌ文化は縄文時代から、緩やかかつ連続的に移行していったとされ、アイヌは形質的・遺伝子的に縄文人の特徴を色濃く受け継いでいると言われています。アイヌは独自の文化とともに孤立言語のひとつである独自の言語をもちますが、口述で伝承され、文字をもっていません。アイヌ語で会話のできる話者が減少し、2021年の参議院決算委員会で紙智子参議がその伝承について質問。

 8月1日には道議会環境生活委員会で、日本共産党の真下紀子議員がアイヌの歴史と文化の継承について質問しました。

アイヌ語話者の減少は深刻

 2019年の道によるアイヌの生活実態調査では、アイヌ語で「会話ができる」0・7%、「少し会話ができる」3・45%となっており、極めて少ない現状で、道は今回の調査でも質問項目に入れると答えました。ユネスコでも日本に消滅危機打開を勧告するほどです。

 道はアイヌ語継承のため、アイヌ民族文化財団による習熟度別講座やラジオ講座、公立小中学校生徒と教師用教材の配布にとりくんでいますが、話者の減少は深刻です。

金成マツノート活かし伝承拡充を

 今年は、アイヌ神謡集の翻訳をした知里幸恵の没後100年にあたります。その叔母が金成マツ(旭川)です。

 昭和3年から昭和22年までの間、92話のユーカラを174冊の大学ノートにローマ字で筆録したものは『金成マツノート』と呼ばれます。総ページ数1万2530ページ、総曲数113曲に及び、道の文化財に認定されています。

 1978年から国の補助事業で毎年報告書が刊行され、一時中断されそうになった2006年には文科省と知事に事業継続を求め、2026年まで継続されています。真下議員は、金成マツノートや知里幸恵の翻訳も活用し、希少なアイヌ語の伝承拡充を求めました。

ウポポイだけでなく各地施設の広報も

 道は、ウポポイをアイヌ文化発信の中核センターとして誘客促進に力を入れています。

 真下議員は、知里幸恵・銀のしずく記念館、旭川市博物館、新館がオープンした川村カ子ト記念館など、全道各地にある多様なアイヌの歴史・文化関連施設への展開、広報の強化も求めました。

(「ほっかい新報」8月13日付より)