建設事業費は4割増(年平均482億円増)

 24年度予算が公表された1月、道新は「GXが経済活性化の特効薬になるかは現状では怪しい」という識者のコメントに加えて、アクションプラン2023(以下、新プラン)が想定した24年度末市債残高の1兆1491億円より95億円多く「借金が増える」(1月31日付)と報道。しかし、秋元市長は予算案の提案説明で、新プランに掲げた取り組みを着実に進め、GXにも積極的にチャレンジすると強調しました。

 新プランは、前期のアクションプラン2019と比較して、事業総額は4割増、うち建設事業費も4割増、起債残高見込みも増加傾向です。市は毎年の予算編成や予算執行の過程で市債や基金の残高を適正な水準に保つと議会で説明してきましたが、土木費などの増加が避けられません。24年度予算から本格的に具体化される新プランの事業については、市民の要求に基づいたくらし・福祉に明確な優先順位をつけて、不要不急の事業は見直すべきです。

敬老パス 一方的廃止は許されない

 新プランのプロジェクト「ウェルネス」の一つとして計画が浮上した「敬老健康パス」は、現在の敬老優待乗車証(敬老パス)を事実上廃止して、新制度に移行させることを前提としていますが、これまでの外出支援、老後の充実ではなく、健康寿命の延伸が目的の別制度です。

 「敬老パスと敬老健康パスは別もの」「現制度は人手不足に悩むバス会社からも喜ばれている」と現行制度存続の世論が広がり、市は26年度の新制度導入に際して、26年3月までの利用者に3年~5年の「経過措置」をゴマカシの対策として設定しました。

 3月8日の予算特別委員会で日本共産党の太田秀子市議は、現行制度の存続と拡充を求めましたが、自民、民主、公明、維新の各会派は、「経過措置」を前提に市の方針を容認。24年度当初予算案に新制度導入のための健康寿命延伸の関連システム構築・アプリ開発等の費用が含まれることに、日本共産党市議団は反対しました。

 23年度で敬老パス利用者が占める割合は、地下鉄で4・7%、市電で11.2%にのぼります。24年度の敬老パス予算・約65億5300万円の92%が、敬老パス乗車料収入分として公共交通事業者に支払う負担金(地下鉄・約27億9000万円、市電・約2億4400万円、バス事業者・約30億2300万円)です。公共交通機関に使用できる敬老パスが、経済の活性化に役立つことを明らかにしました。

市民の願い反映する先頭に

 札幌市は今後、新プランに盛り込んだ施策を、重点的に予算化していくとしています。

 子ども医療費助成(通院)の中学生までの拡大、市立学校の教室へのエアコン設置などを新プランや新年度予算に反映させ、オリンピック招致活動の「停止」による関連経費を削減させてきたことなどは、世論と運動と議会論戦の反映によるものです。

 しかし、必要性がない都心アクセス道路の本格工事に伴い、耐用年数に達していない下水道管の移設費用に24年度は92億円(全体で約300億円)を計上するなど、不要不急の事業が見直されないまま進められることから、引き続き党市議団のチェック機能の強化が求められています。

 運転手の確保、路線復活などを要望する「真駒内駅の地下鉄最終便に接続するバスの復活を求める会」からの陳情審査では、田中啓介市議だけが質問に立ちました。田中市議はバスの最終便が無くなり、車がない世帯では転居も考えなければいけなくなっているなど、市民負担が増えている実情を紹介し、利用者の負担軽減を求めました。

 意見書では、他会派と文言修正の作業をおこない、「政治資金規正法違反の解明と実効性のある再発防止策の確立を求める意見書」などの採択をすることができました。

(「ほっかい新報」4月14日付より)